Wedge5月号の抜粋ということで、Wedge infinityに、今は産業技術研究所名誉フェローとなっている中西準子さんが「ゼロリスクの呪縛」という問題について書かれています。
築地市場の豊洲移転計画に対し、豊洲の地下の化学物質汚染が問題化し、移転が棚上げとされどうしようもないように見えます。
たとえ地下水が汚染されていても、地上部には影響はないというのが当然の科学的見解と思いますが、それでは納得出来ない方が多いのでしょう。
中西さんはこれまでも「リスク学」というものの発展に力を尽くしてこられました。
その主張の中で基本的なものは「ゼロリスクというものはない」ということと、「何らかのリスクを下げようとすると必ず他のリスクが上昇する」(リスクトレードオフ)ということでしょうか。
今回の記事で中西さんが述べられていることも、「ゼロリスク」を追求しようとしてかえって混乱に陥った築地移転問題を、これまでの典型的なその表れである「福島原発事故避難」「BSE対策としての全数検査」とともに挙げてあります。
いずれも、どうしても少しはリスクが有るということを説明する責任を政府や担当者が放棄したためにかえってどうしようもなくなったという事態に陥りました。
この事態は、基本的には人々の科学的な理解が進むかどうかにかかっています。
その意味では日本人には難しいことなのかもしれません。
中西さんも最近はなかなかご活躍のお姿を拝見できないようになっていますが、まだまだその場は多いようです。