FOOCOM.NET松永和紀さんが、日本有数の食品企業の明治がチョコレートの健康効果をあまりにも低レベルな科学研究しかできないにも関わらず大々的に宣伝している問題を取り上げています。
松永さんの記事にもあるように、日経新聞でも報道されていますが、
その内容は、「内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究チームが、脳の健康に効果のありそうな食べ物や生活習慣などを見つけるためのコンテストを開催しており、仮説でしかない研究を表彰している」というものです。
その「仮説でしかない研究」というものの内容が、松永さんによれば非常に低レベルのものだということです。
その研究はまだ科学論文にすらなっていないもので、当人たちの記者会見だけでしか内容が発表されていないという程度のものなのですが、それを見ただけでも松永さんはその試験設計自体の問題点が見えるとしています。
まず、対照群すら置いていない。つまり、それを摂取しない対照が無いためにその効果かどうかも分からないものだということです。
さらに、その結果として「大脳皮質量」と「神経線維の質」が変化をしているといっているだけなのですが、それを「学習能力を高める可能性がある」としている点です。
そんなことがどうしてその結論につながるのか、まったく説明がありません。
さらに、松永さんが強調しているのは、「さらに重要なのは、明治がこの内閣府の表彰ということを宣伝に利用していることだ」ということです。
表彰直後の読売新聞に全面広告で打ち出しています。
海外ではこの程度の科学研究などは発表しても批判されるだけとも指摘しています。
日本の科学レベルの低さを示しているということでしょう。
なお、松永さんの記事巻末に追加されているように、内科医NATROMさんが書かれている「NATROMの日記」に、この研究の手法を「ニセ科学」と批判されています。
松永さんの記事では批判の主体は明治でしたが、NATROMさんは内閣府の研究チームの方をより厳しく批判しているようです。
まあいずれにせよ、政府と企業が結託して売上さえ上げられればめでたしという、昨今の健康食品ブームそのままの構図がはっきりと表れてしまったということでしょう。
それが胡散臭い健食メーカー「D◯◯」とか「え◯◯」ばかりでなく、日本を代表するような企業まで及んでいる(というか先駆けている)というのが状況をさらに悲惨にしています。
政府の関与などは、まあその汚らしさにはお似合いで取り立てて言うほどでもないですか。