爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

飯田線の思い出

最近、「よんばば」さんのブログで飯田線に乗って湯谷温泉に出かけたという記事が出たのに触発され、昔からよく利用した飯田線の思い出を書いてみようかと思いました。

 

(なんちゃって、ちょうど良いネタに出会って喜んで書いているだけですが)

 

 

飯田線は長野県中部の辰野と愛知県の豊橋を結ぶ路線で、現在はJR東海に属しています。

辰野駅で中央線、豊橋駅東海道線と連絡しており、かつては新宿や長野、名古屋からの直通運転列車もありましたが、現在では廃止されています。

また、辰野豊橋間の全線を運行する列車はなく、どちらからも飯田までの運転となっています。

 

 

両親の故郷が飯田市近郊で、東京、名古屋、神奈川に住んでいた頃に里帰りするには昔は飯田線を利用するしかなかった時期がありました。

今でこそ中央高速のバスを使った方が速く行けるのですが、これが整備されてきたのは1980年代以降でした。

 

 

私が生まれた1950年代半ば、一家浦和市に住んでいましたが、そこから長野県飯田地方に帰るには新宿から中央線に乗り、辰野から飯田線というルートしかありませんでした。

当時は列車旅行者も多く、ひどい混雑ぶりだったようです。

2歳違いの弟が生まれたすぐ後に実家に帰らなければならない用事ができた母は、弟を背負い、私の手を引いて混雑する中央線急行に乗り苦労して帰ったということです。

しかし、おそらく辰野から先の飯田線に入ればそこまで混雑は無く安心できたでしょう。

 

その後、ほどなく名古屋に転居しました。

名古屋からは豊橋まで国鉄名鉄で出て、そこから乗り換えて延々と長い飯田線の旅でした。

ここでは小学校1年まで居ましたので飯田線の旅行の思い出も残っています。

新城(しんしろ)あたりまではのどかな田園風景ですが、長篠城を過ぎると渓谷の感が強まります。

そこから中部天竜、佐久間に出ればいよいよ天竜川との併走です。

くねくねとうねるような川に沿ってカーブ続きの線路、トンネルも数多く子供の私達兄弟はトンネルの数を数えていったものです。

帰省はやはり夏が多かったのですが、当時はまだ電車にクーラーは設置されておらず、窓を開けて風を入れるしかなかったのですが、トンネルに入るとひやりとしたような覚えがあります。

そして、天竜峡をすぎればいよいよ伊那谷、ようやく父母の郷里が近づき長かった旅も終わる喜びと、馴染みの日本アルプスの山々と再会できる楽しみがありました。

 

 

小学校6年以降は神奈川県茅ヶ崎に住みました。

そこから長野へのルートは、最初は新宿発の電車というものだったのですが、ほどなく新幹線で小田原から豊橋まで、そこから飯田線に乗ったほうが早いということに気づき、しばらくはそちらから入ることが多くなりました。

豊橋駅の新幹線から飯田線ホームへの乗り換えは、非常に長い跨線橋を渡らなければならないのですが、急がなければ座席が無くなるかもしれず足早に歩きました。

さすがにもう、トンネルの数を数えるということはしませんでしたが、渓谷をたどりながら難読名の駅を次々と見る楽しみもありました。

出馬、為栗、大嵐、中井侍、鴬巣、駄科など、知らない人にはなんと読むかは難問でしょう。

 

この頃には、父からお古のカメラを貰い、盛んに電車の写真を撮るようにもなりました。

主なターゲットは蒸気機関車中央西線に撮影旅行をしたりしましたが、飯田線の旧式電車や電気機関車も撮影するようになりました。

飯田の少し北方の、元善光寺駅や下市田駅周辺が撮影ポイント(というのもそのすぐそばに母の実家があっただけの話です)で、南アルプスの山を背景に列車の写真を撮ったものです。

当時は結構列車本数も多く、あまりダイヤを調べずに行ってもすぐにやって来るという便利さもありました。

 

 

天竜峡以南の渓谷沿いもさることながら、飯田以北の河岸段丘を走る飯田線も味わい深いもので、田切という地形(地名も多いのですが)を迂回しながらの線路が数多く残っています。

これは、天竜川に注ぎ込む支流が河岸段丘を通るところで深い谷となっているもので、両岸の上の田畑を切り込むようになっているからそう呼ばれるものと思います。

ここを通る電車から見ていると、車窓の山々が右から左へと頻繁に交代して見え、どちらに進んでいるのか分からなくなります。

そして、最後にやや長い鉄橋で川を渡り対岸を登ることになります。

 

 

神奈川を離れ熊本にやってきてからは、長野を訪れる機会もなくなりました。

飛行機で上空を通過する時にあの辺かと見るだけになってしまいました。

 どうやら飯田線にも特急が走っているようです。特急と言っても速くは走れないだろうな。