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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「絵でわかる カンブリア爆発」更科功著

「カンブリア」というと最近ではテレビ番組の方が有名かもしれません。

 

カンブリア紀」と名付けられた時代があり、5億4100万年前より始まった古生代の始めの地質時代を指します。

この時代に数多くの動物の系統(門)が出現し、それ以降のほぼすべての系統が出揃ったように見えます。

そして、それ以前の時代の地層にはほとんど化石が見られず、その時代に急に爆発的に動物種が表れたために「爆発」と名付けられました。

 

本書は生物学者の更科さんがそのカンブリア爆発について一般向けに解説されているものです。

 

 

ダーウィンの時代に知られていた最古の化石は「三葉虫」でした。その三葉虫が表れたのがカンブリア紀でした。

三葉虫は動物としてもかなり複雑な構造を持ち、複眼という高性能な目や自由に歩き回れる脚、硬い外骨格を備えた高度な複雑性を備えていました。

そして、三葉虫以外にもその時代の地層からは多種の複雑な構造を持つ動物の化石が発見されました。

カンブリア紀以前の先カンブリア時代の地層からは当時ただの一つも化石が見つかっていなかったのと比べ、その多様性は驚きでした。

 

その時代に現代につながるような動物の多様性が突如始まったと見られ、それをカンブリア爆発と名づけられたのでした。

その定義は「現生の左右相称動物の多くの門が化石記録に突然出現したこと」となっています。

 

 

生命の誕生は地球誕生の後、比較的早い時期に起きたようですが、長い間単細胞生物のみの世界でした。

しかし、その作り出した二酸化炭素が関与し、温暖化と急激な寒冷化が何度も訪れます。

その中で特に激しい寒冷化が「スノーボールアース」と呼ばれる赤道まで含めて全地球が凍結してしまった3回の全球凍結です。

これが22億5000万年前、7億年前、6億5000万年前に起こりました。

その環境では地上のほとんどの生命は死滅してしまったのですが、ごく一部の地域、おそらく火山の噴火口のような熱水が得られる場所だけでわずかな生物が生き残りました。

 

そして、火山から放出される二酸化炭素が蓄積し全球凍結も溶けてしまいます。

そうなると生き残っていた生物が急激に繁茂することになります。

以前は、この最終回の全球凍結からの温暖化がカンブリア爆発の原因となったとも見られたのですが、そこの時間差がかなり大きいために直接の原因とは考えられていません。

 

 

結論だけ書いてしまうと、全球凍結からの回復後のエディアカラ紀にすでに徐々に動物の多様性が準備され、遺伝子の多様性が増していたのですが、それがカンブリア紀に入り動物の進化によって捕食動物が出現し他の生物を食べるようになり、それが契機となって捕食される側も進化することが必要となり、一気に変化したというのが理由のようです。

 

それには、三葉虫に見られるような眼の進化も重要な役割を果たします。捕食側、被捕食側のいずれにとっても高性能の眼というものは重要な要素でした。

 

 

巻末に記述されているように、もしもカンブリア紀の爆発開始の時点で存在していた生物が現実のように動物の祖先ではなく、キノコの祖先であったら今頃はキノコから進化した生物が地球上に満ちていたかもしれません。

偶然かもしれませんが、このような生物に満ちた地球になってしまったのがカンブリア爆発であったということです。

 

絵でわかるカンブリア爆発 (KS絵でわかるシリーズ)

絵でわかるカンブリア爆発 (KS絵でわかるシリーズ)