爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ダメだ!この会社」倉田真由美、山崎元著

かなりの大企業であっても中味はボロボロ、一気に倒産ということもある世の中ですが、なかなか他の会社の事情というものは分からないことが多いものです。

いまだに転職事情というものが改善せず、新卒で入った会社から出ようとするとかなりランクの落ちるところに行かざるを得ないのが普通ですが、本書著者の1人、山崎さんは新卒で三菱商事に入社、仕事に不満を感じてその後11回転職、それもかなりの有名所に次々と入っていったという方です。

 

その山崎さんが自分の経験した商社、金融会社など、そして話に聞いた他の業界の様子など、いろいろと取り上げて、「こんな会社に入ったらダメよ」ということを書いています。

 

もう一人の著者、倉田真由美さんは「ダメンズ・ウォーカー」が有名な漫画家ですが、本書では第1章で山崎さんと対談したあとは、「ダメ会社とダメ男は似ている」というスタンスで山崎さんの話に挿絵を書いているというもので、あくまでもメインは山崎さんでした。

 

第2章は、ダメ会社を見分ける4つの基本が挙げられています。

「社長」について

目立ちたがり屋、著名人好き、財界活動好き、学閥好き、アルコール漬け、セックス漬けの社長の会社はダメ、ってたいていそうじゃない。

 

「社員」では、

私用メールばかり使う、帰国子女を優遇、オフィスがシーンとしている、女子社員の制服がピンク、社員の平均寿命が短い(実際に早死にするということです)、高学歴社員ばかり、役員に銀行出身者が多い、これもそう。

 

「会社の雰囲気」では、

上司が帰るまで帰れない、部長以上が異様に早い時間に出社、社長が親会社から降りてくる、部長がホノルルマラソンに出る、いまだ独身寮がある、若手抜擢をことさらアピールする、これもよくあるのばかり。

 

「財務」について、

時価総額の大きい会社には落とし穴がある、粉飾決算は多いが大抵バレる、ベンチャーキャピタルが出資した会社、ということです。

 

第3章は、ダメな大手企業のよくある話

若手が妙に自分の会社を褒める

冴えない40代オヤジが多すぎる

社内不倫が妙に隠蔽されている

労働組合の委員長が出世する

すぐにコンサルタントを使う

外注先イジメとたかりが横行

 

第4章ですが、これは外資系企業という会社で、派手な印象がありますが中味はお粗末なところが多いようです。

社員の質も悪いところがあり、その訳としては日本に働きに来ている外国人は本国ではいまいち通用しなかったからだとか。

そして、彼らが日本人を採用する場合も正確に判定できず英語で会話ができれば良い程度で決めてしまうこともあるとか。

外資で上手くやっていくコツはとにかく上司や本国に対してアピールすること。なんでも自分の成果にして報告すること。その程度でごまかせるそうです。

成果だけでなく、同僚などのチクリも日常茶飯事、このようなサバイバルを経て勝ち抜くことが必要とか。

 

第5章、ベンチャー企業ですが、これは「ベンチャーは入るものではなく自分でやるもの」

ベンチャー企業は大手や外資と比べて給料は低いのでまともに働いていこうとするには不利です。

また社長1人の才覚で伸びようとするところですので、社長と合わなければどうしようもありません。その辺の見極めも必要。

創業当時からの社員にはあまり学力もない人が多く、役員は漢字も書けない人がいるのも珍しくないとか。

しかし、後から入るとそこまで到達するのも難しくなっています。

 

第6章、金融機関ですが、銀行員というのはとにかく序列がもっとも大切。それだけを考えて生きています。

最近、銀行の合併が相次いでいますが、吸収合併の場合のされた側の行員は序列が優位側の最下位のその下になるので、最悪とか。

優位側銀行員は徹底的にそちらを見下すので面白くなく皆辞めていくそうです。

社内常識が世間と一番ずれているのも銀行だそうで、行員同士で「優秀」と言われている連中でも世間的にはどこが優秀か分からないことがあるようです。

銀行で言う「優秀さ」というのは、とにかく「前例をおぼえること」、そして周囲の連中の入行年次、出身大学、人事評価を頭に入れることだそうです。

単に記憶力があるだけ、世渡りが上手いだけの人が「優秀」で出世するとか。

 

読後感、まあこんな会社ばっかりじゃ日本全体ダメ国家ですなね。

しかし、私が在籍していた大手にもなれなかったダメ会社はこれよりまだ悪かったんでしょう。

政治家も官僚もダメなのは分かっていますから、「一億総ダメ」でしょうか。

 

ダメだ!この会社―わが社も他社も丸裸

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