読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「巨大地震Xデー」藤井聡著

読書記録 社会問題

「巨大地震」には「メガクエイク」と振り仮名が付けてあります。

 

著者の藤井さんは京都大学教授ですが、第2次安倍内閣で国土強靭化政策を進める上での論拠となるべく、内閣官房参与として参画しています。

 

東日本大震災以降、数々の大地震が頻発し、さらに水害や火山噴火等災害被害が大きくなっているのは間違いないところですが、これに対しどのような対策を政府として取れるかという点が問題となっています。

 

第2次安倍内閣はこの危機に対して初めて政府としての国土強靭化というものを真剣に考えているということです。(本書に書いてあることであり、著者の主張です)

 

本書冒頭にも書いてあるように、「国土強靭化というと道路や堤防を作るだけと言ったイメージを持つ国民が多いようだがそうではない」というのが著者の一番言いたいことかと思います。

 

しかし、本書出版は2013年、それから3年以上経過していますが政府の動きはどうも鈍いように見えます。やはり「国土強靭化と称して公共事業投資を増やし経済効果を狙っただけ」なのが安倍内閣だったようです。

結局、著者の藤井さんは利用されていただけということのように見えますがいかがでしょうか。

 

ただし、本書に見られる国土の危機と強靭化の対策必要性というのは、まったく主張としては間違いのないものであり、これを真剣に考えなければならないのはもちろんです。

政府にその姿勢が本当にあれば良いのですが、どうやら見込み違いだったのではないでしょうか。

 

まあ、それはともかく本書に挙げられている点を簡潔に。

 

巨大地震Xデーにおいては、特に南海トラフ地震と首都圏直下型地震が最大の危険性を考えられていますが、どちらも今後30年以内に発生の確率が70%以上と見積もられています。

その被害想定も死者が数十万人、被害額数百兆規模と見られていますがその数字を見ただけで「もうだめだ」と言って思考停止に陥っているようにも見えます。

 

政府としてはどのような事態が生じるのかをまとめ、さらにそれを少しでも軽減するように対策を講じるとしています。

 

確認したのは「45の起こしてはならない最悪の事態」です。

多岐にわたりますが、国民の生命が失われる・救助救命ができない・行政が停止する・情報通信ができなくなる・経済活動が停止する・エネルギー供給交通等が途絶える・深刻な2次災害が起きる・経済が再建できなくなるという8つの項目に分類されます。

 

巨大地震では揺れによる建物や各種施設の倒壊、津波、火災などによる直接の死者発生に加え、その後の事態によって間接的な被害増大も深刻であろうと予測されます。

 

それに対する政府対策の検討も始められたのでしょうが、各省庁間での連絡を密にし平常業務に加えて危機対応を進める必要があるということになっているようです。(その後の進展はどうなのでしょう。極めて疑問です)

 

このような巨大災害のあと、復興は困難になる可能性が強くなります。それに陥ることを防ぐためにも強靭化対策が必要となるということです。

 

最後にこのような強靭化対策を取る政府に対するマスコミの論調の批判もされています。

強靭化を補助金バラマキと間違えて批判するといっていますが、今となってはどうでしょう。やはりそうなのではないでしょうか。

 

極めて危機的状況にあるというのは良くわかりました。しかし、今の政権に本当にそれの対策をする姿勢があるのかどうか、現在も政府の真剣さを信じているのかどうか、著者に尋ねてみたい気がします。