爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「数学まちがい大全集」アルフレッド・S・ポザマンティエ、イングマール・レーマン著

著者は長年アメリカとドイツで数学教育にあたってこられた方々です。

 

数学が得意という人でも基本的な間違いを犯すということは多々あるようです。

数学に拒否感を持つ人は小学校などでつまづいたまま数学を受け入れる気がなくなってしまったのかもしれませんが、数学者などでも大きな間違いをしているということを知っただけでも親近感が少しは湧いてくるかもしれません。

 

本書は第1章は高名な科学者・数学者でも間違えていたという例、その後の章は数学の分野別に代数・幾何・確率等でのよく起こる間違いの例が並べられています。

ただし、後半の間違い例は多数(過ぎる)であり、一つ一つについての解説もさほど丁寧ではありませんので、これのどこが間違いかということが分かるためには、高校程度の数学でもかなり理解できたという人でなければわからないかもしれません。

 

そんなわけで、本書はほとんど一般的には薦められるものとは言えないものです。

数学が大好きな中高生にとっては面白いものかもしれません。

 

現代の微積分学の基礎を築いたと言われる、ゴットフリード・ライプニッツも無限数列の和という問題に関して間違いを犯していたそうです。

1/1+1/2+1/4+1/8+・・・・・という無限数列の和を2であると計算したそうですが、これは誤りでした。

級数の収束性というものについて厳密に考えられていなかったそうです。

 

その他にもフェルマーオイラーといった大数学者でも間違えていましたと言われても、まあそんなものかと思うばかりですが。

 

代数における間違いというところでは、よく起きるものが「0で割る」ことから生じるそうです。

もちろん、数字の「0」で割ってはいけないというのは誰でも知っていますが、式になってみると0になる可能性がある場合を忘れておかしな結論に導かれることが多々あるそうで、ヨーロッパでは「0で割ってはいけないというのは11番目の戒律」と言われているそうです。(モーゼの十戒にちなむ)

 

幾何の間違いに挙げられている例ははっきり言ってとても難しいものでした。どこが間違いかもよくわからない。

 

そんなわけで、単なる話の種にはとてもなりそうもない本でした。

 

数学まちがい大全集: 誰もがみんなしくじっている!

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