FOOCOM.NETに書かれている、東大の栄養疫学の研究者、児林聡美さんの今回の記事は栄養疫学というものに進もうとしたその契機について振り返られているもので、出会いとそれによる進路変更というものについて考えさせられます。
児林さんは大学卒業後は農林水産省に入省されたそうです。
そこで仕事をしていったのですが、何か疑問を感じながらの生活だったようです。
しかし、たまたま講演をしに来られたのが、現在の児林さんのお師匠さんである、東大の佐々木敏教授でした。
佐々木教授はそこで、
ぼくは感謝されない医者なのです。
ふつうの医者は目の前の患者さんを治療することが仕事で、治療をすれば毎回患者さんから感謝をされます。
でも栄養疫学でできるのは、治療ではなくて予防です。
多くのこれから病気になるかもしれない人たちを、いかに病院に来てもらわなくてよいようにするかが重要なのです。
それが成功しても、だれもぼくに「ありがとう」とは言ってくれません。
でも、そのことで目の前のたったひとりの患者さんよりも、多くの人を救うことができるのです。
それでよいのです。
という言葉を述べられました。
栄養疫学などという学問分野すら知らなかった児林さんですが、この言葉に動かされて佐々木教授に話を聞くようになり、さらに農水省を辞めて研究の道に戻られたそうです。
何かすごく良い話を聞いた気分になりました。
これだけ人を感動させられる話をできた佐々木教授にも賞賛を贈りたいと思いますし、それをとらえることができた児林さんも素晴らしいと思います。
今後のご活躍を期待します。