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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「教科書が教えられない政治学」土屋彰久著

政治についての言葉を一つ見開き2ページで解説するという体裁ですが、その内容は非常に辛辣であり、日本の政治の現況を批判的に捉えています。

 

このような書き方ができるのはジャーナリストか作家かと思いましたが、著者の土屋さんは政治学者ということで、大学の非常勤講師も勤められています。

あまり学者らしい文章ではないかとも思いますが、その他の活動の方が活発なのかもしれません。

 

たとえば、「二大政党制になればすべてがうまくいくように言われるが、これは政治的意図に基づくデマである」とはっきりと言い切っています。気持ちが良いくらい。

二大政党制の最大のデメリットは選択肢が過度に制限されることであり、これは単なるイエス・ノーの選択だけになるというようなヌルい話ではない。大きなイエスと小さなイエスの選択肢しかないような場合もある。

非常に厳しい見方がされていると思います。同感ですが。

 

小選挙区制は選挙制度として最悪の制度である。(きっぱり)

同じ小選挙区制を採用している国でも少しでも公正を目指し当選には過半数の支持を必要とするような制度を設けている国が多い。しかし最も欠陥の多いこの制度を日本に導入する理由は簡単。この制度が何よりも強者・勝者の味方でありその力関係を固定化し拡大する機能を持っているからである。(なんと分かりやすい)

 

選挙制度は数々あるが、実はデメリットの多い制度ほど支持を集めるという傾向がある。これはある勢力にとってのデメリットは対抗勢力のメリットとなり、そのメリットを活かして権力を握った勢力はそのゆがみをさらに拡大しようとするからだ。

(まさに簡潔に現状を説明しています)

 

ネット選挙ではなりすましスパミング(低級な中傷などをわざと公開する)などは低レベルのハッカーでも簡単にできてしまう。レベルが上がれば標的となった候補者のパソコンからスパムメールを発信させることも可能でありそのダメージは選挙期間中には回復できない。

このように、ネット選挙の怖さは非常に大きいもののようです。

 

解散総選挙

国会の解散権は君主制の時代に君主が議会を制するために行使してきた専制的権利の名残だそうです。

君主制のないアメリカには解散制度もありません。

これが残っているのは「立法府の暴走」を防ぐ歯止めとしての機能が認められるからですが、内閣不信任の議決もしていないような議会を解散していますというのはどう見ても内閣側の暴走であり民主主義政治の枠組みを越えたものだそうです。

 

なお、日本の衆議院解散というのは憲法上の根拠が薄弱なもので、はっきりとした規定はないものです。これを数の力で政争の武器として使っているのは政権側の私物化に他なりません。

 

オンブズマン制度

というような制度が形だけ作られていますが、日本で真似したのは名前だけです。

「下は村長から上は首相まで、市民にいかなる犠牲を強いても身内の役人を守ろうという意識で行政のトップが凝り固まっている日本において、本来のオンブズマンせいどなど存立不可能なのが実態である」ということです。

 

他にも簡潔な言葉で日本の政治を表している項目ばかりです。面白いんですが、内容は情けなくなるような政治の貧困であり、楽しんでもいられない状態でしょう。