東西、すなわち関東と関西、とりわけ東京と大阪というところは様々なものが異なるということはよく知られています。
本書はそのいくつかを取り上げ、山出さんの美しい写真で分かりやすいように対比させたものです。
同じページに東のもの、西のものと並べて載せられており次ページに解説が書かれています。
ところで、日本というものはとても東京・大阪だけでまとめられるようなものではなく、現に今私の住む九州などはそのどちらとも違うというものがたくさんあるのですが、まあここではそれには目をつぶりきれいな写真を楽しみましょうか。
私は小学校時代から大学卒業までは東京近郊で暮らしましたので、ここで取り上げる「東」に属するのでしょうが、細かく見れば違うものもあるようです。
とは言っても「西」には今まではほとんど縁もなかったのでやはり「東側」(なんか、昔のソ連寄りにも似た言い方ですが)でしょうか。
いなり寿司は、東は俵型、西は三角形ということです。また中の飯も西には具入りのものが多いとか。しれみると九州のこの辺は西よりでしょうか。なお、自分自身の感覚では東がしっくりします。
桜餅は大きく異なることはよく知られていることかと思います。
本書の解説はスペースの関係で短すぎるので少し補足しましょう。
関東風は長命寺と言い、小麦粉を薄く焼いた皮に餡を挟んでから塩漬け桜葉で包んだものです。
関西風は道明寺粉(粗く挽いた餅米粉)を蒸して餡を包み桜葉で包んだものということです。
東京以外は関西風が多いようで、九州でもこれです。私も道明寺が普通と感じます。
線香花火の違いは知りませんでした。
東の物は紙で火薬を包んだもの。西は稲わらの固い芯の端に火薬をつけたもの。そういえば両方共見た覚えがあります。
遊び方は、紙で包んだものは真下に向けて火をつけるしかないのに、稲わらのものは先を上向きにしても良いそうです。
扇子は骨の数が違うそうです。京扇子では、骨が35本あるのが一般的とか。
江戸扇子は骨が15本しかないそうです。
なお、京扇子は分業制で作られるのに対し、江戸扇子はすべて一人の職人が作るのでだんだんと作り手が減ってしまいました。
たまごサンド。
東(というか、ほぼ全国)はゆでたまごを潰してマヨネーズと混ぜたものですが、西では焼いた卵を挟むものがあるようです。(すべてではない)
これは食べたことがありません。
ちらし寿司。生の魚介は使わないのが関西風で、エビや穴子なども煮焼きしてから入れてあります。一方、東(今はほぼ全国)は生の魚などをふんだんに入れるものだそうです。現代ではこちらが圧倒的に多くなりました。
やはり東西では大きな文化の違いが存在するようです。