テレビ番組出演が多い池上さんですが、元々はNHKの社会部記者で取材活動も長くやってきたそうです。
池上さんは2012年の衆議院議員選挙の開票の際、テレビ東京の選挙特番の司会を担当したそうです。
その時の反響は大きく、高く評価されたそうです。
というのも、その他の局の特番では当選か落選かだけを伝えるだけであったり、当選者インタビューも「今のお気持ちは」とだけ聞くような芸の無い番組が多かったということで、池上さんもその点は注意して興味を引くような作り方をしたからだとか。
選挙の時だけに限らず、政治家に対するインタビューというものは難しい場合も多いのですが、これについては日本の報道事情も大きく絡んでいます。
というのは、日本では政治家に限らず記者会見での質問というものがあまりにも幼稚なものが多く、アメリカのように相手を挑発して本音を聞き出すといったレベルのものがなかなか見られないというのが普通になっています。
これには記者側の事情もあり、新聞社やテレビ局などでは年齢と経験が豊富な記者は管理職となってしまい、記者会見に出てくるようなのは若い入社数年の記者ばかりということがあるようです。
アメリカのホワイトハウス会見などでは、記者は白髪とハゲばかり、聞かれる政治家より記者の方が年上というのが普通であり、その経験と知識は大変なものでそれを活かした質問が続出するそうです。
日本では基礎知識すら危ないような若者が出てきて、予定した質問票を見ながら質問するだけといった程度では、相手を挑発どころか完全にその手のうちにはまってしまうようです。
特に老練な政治家はマスコミを手玉に取り利用します。もっともうまかったのは小泉元総理で、書きやすい言い方で単語を連発し記者に良い記事を書けるような雰囲気を振りまいて自分の思うとおりに書かせたそうです。
また、日本でも政治部記者と社会部記者では相当な性格の相違があり、一般的には政治部記者のほうが社内でも昇進する例が多いようですが、政治部では担当政治家との癒着とも言える関係が築かれることが多く、そのために報道姿勢も鈍ってしまいそうです。
ただし、そのために新聞社などでは経営陣が政治家と密着している例も多く、それが日本の新聞の姿勢にもつながっていそうです。
かつて、自民党派閥が全盛の頃には、派閥のトップを「うちのおやじ」と呼ぶ政治部記者もいたそうです。そういった姿勢が報道にも現れたのでしょう。
最後に池上さんが書いているのは「良い質問が政治家を育てる」でした。
それが見られる状況ではなくなっているのでしょう。