今年5月7日に、アメリカのテスラ・モーターズ社の「モデルS」という車が運転支援システム「オートパイロット」の動作中にトレーラーに衝突して運転者が死亡するという事故が起きました。
それについて、自動車ジャーナリストの鶴原吉郎さんが日経BPに詳しい解説を書かれています。(会員制の範囲のところです。すみません)
business.nikkeibp.co.jpそれによればテスラ社の発表では太陽の反射が明るすぎて誤作動したということですが、それは不正確であり事実を隠すものだというのが鶴原さんの主張です。
状況は、道路を横断していた大型トレーラーをオートパイロットが認識できず、運転者も回避動作ができず(DVDを見ていたという話)にそのまま突っ込んだというものです。
テスラは「トレーラーの白色の側面が、明るい空を背景としていたために(against brightly lit sky)」人間もオートパイロットもトレーラーを認識することができず、ブレーキを作動させなかった、と発表しているそうですが、このシステムでは可視光を使うカメラの他にミリ波を使うレーダーも使用しており、色や眩しさは関係ないはずというものです。
ならばなぜオートパイロットはトレーラーを見失ったのか。
鶴原さんはエンジニアの知人から聞いた話として次のようなものを挙げています。
つまり、「横を向いたトレーラーのようなものを障害物と判断することができない」という驚くべき問題点です。
現在の運転支援システムでは、すべての情報を取り入れて判断するということはできず、似たようなパターン、例えば車の前面・後面、自転車、歩行者といったものを記憶しておき、それと似ているものを判定して回避するという程度のものに過ぎないようです。
そのようにしている理由は、外界の情報というものがあまりにも多岐にわたりそれらをすべて何物かと判断することは不可能だからだということです。
そして、その知人の話では「横を向いたトレーラー」のような巨大なものは他にも多数ありそれらすべてを障害物と認識することはできないとか。
これはとても「オートパイロット(自動運転)」なんて言うものではないようです。
日本でももうすぐにも自動運転の時代に入るかのようなことも言われていますが、その実力はまだまだかなり低いもののようです。こんなものに生命を預けるわけには行きそうもないですね。