FOOCOM.NETでの栄養疫学紹介の児林聡美さんのコラム、実際に行われた女性3世代の食生活と健康状態の関連性調査について、その研究の進展の内容を書かれています。
一発勝負の裏でてんてこまい:疫学調査の裏側お見せします2 | FOOCOM.NET
児林さんは現在は東京大学大学院医学系研究科の社会予防疫学分野の特任助教ということですが、その修士課程在学中の2010年から指導教官の佐々木敏さんのもとで、「3世代研究」という調査を行なうこととなったそうです。
これは、女性3代(祖母、母、娘)の食生活の実態と、その健康状態がどのような関係があるかを調べるものですが、この企画と準備に1年間をかけ、実際の調査には2011年4月から1ヶ月を当てました。
どのような対象の人を選ぶのかということがこういった研究では大切なところです。
しかし、それ以前に実際に調査に協力してくれる研究者を依頼するという過程が非常に問題になるところです。
これには、この佐々木先生の研究室が以前から共同研究者として依頼していた経緯のある全国の栄養系教育機関の教員などの方々に依頼するということで決まります。
その線で目的とする対象者(娘世代)もそれらの栄養系教育機関(大学、短大、専門学校)の学生さんということになるのですが、問題は一応学生と言っても専門家になるためにそれらの学校に入学した人たちであり、一般人とは見なせないというところにあります。
これを避けるために、「入学したての1年生の4月に調査する」ということで、「一般人とみなす」という条件をクリアすることにしています。
この辺の所は研究企画の設定というところで悩ましいものでしょうね。
曲がりなりにも栄養系学校志望の学生さんたちですから、完全に一般人とは言えないのでしょうが、かと言って栄養学的な食生活にまったく興味のない人を選定し、そこから質問の答えを引き出すというのはかなり難しいことであるのは間違いありません。
まあ、次善の策といったところでしょうか。
こういったプランで、全国で2万人の人を調査対象とする研究企画ができました。
次いで、実際に配って回答してもらう質問票の作成に取り掛かります。
これは3世代(祖母、母、娘)それぞれに別の質問票を使うということで、3種類のものを用意するわけです。
ここで適切な質問が設定できなければ意味のある研究成果も得られないということになり、もっとも大切な準備になるわけです。
ここまでの準備ですでに半年以上が過ぎてしまったそうです。さらに準備の苦労は続くそうです。
こういった研究調査といったものは、どのような分野でも実施されるものでしょう。
私も似たような経験はありますので、経過を見ていてワクワクしてくるような気がします。