非常にお名前が似通っていますので、「寺澤芳男」さんかと思いましたが別人でした。
こちらは英語がご専門で東大と岐阜女子大の名誉教授になっておられる方です。
ちなみに寺澤芳男さんは野村證券副社長等を歴任、その後政界に入り参議院議員、経済企画庁長官などを勤めました。まあ関係ない話ですが。
数多くの英語の単語の語源についても書かれていますが、その基となる語源探求の研究についても触れられています。
英語はその基盤となる部分はゲルマン語の一派のアングロサクソン族が使った言葉からなっています。
ゲルマン語派にはドイツ語、オランダ語、北欧諸語とともに英語を含みますが、これはその他の諸言語(ヒンディー語、ペルシア語、アルメニア語、ロシア語、ポーランド語、ブルガリア語、ラトヴィア語、ギリシア語、アルバニア語、イタリア語、ロマンス語、ケルト語)の12言語派とともに、印欧基語と呼ばれる言語から別れたものです。
これは紀元前4000年前まではひとつのまとまりを持っていたそうです。
著者は、わずか6000年前という近い時代まで一緒だった言葉が、今ではこれほどまでに分散したことを驚いています。
それらの言語を比較しながら語源を追求していくそうですが、関係ありそうでなかったりと色々あるようで、また通俗語源といって「猫は”ね”るのを”こ”のむから”ねこ”という」といったような解釈をこじつけることが英語でも数多く行われているようです。
現在の言葉の比較だけではわからないので、各言語の昔の状況まで調べなければいけないということで、相当難しいことは想像できます。
一例として、father は古期英語では faeder (本当は ae は一文字)、さらに遡って印欧基語では peter- (最初のeは逆さま、次のeはダッシュ付き)というところまで解明されます。
ギリシア語ではpaterまたはpappe、と共通の語源によるそうです。
motherについても古期英語でmodor、印欧基語では mater-となり、ラテン語のamita、ドイツ語のMuhmeとも関係あるそうです。
印欧基語の子孫であるヨーロッパ諸言語はその関係もつかみやすく、類縁の言語のほとんどない日本語から見るとうらやましい状況です。
まあそれだけヨーロッパ諸部族が広範囲に増殖していったという経緯によるものでしょう。