一部で報道されていますので耳にした覚えはあったのですが、ゴールデンウィーク中の「肉フェス」と言う東京江東区と福岡市で開かれたイベントで出された「ハーブチキンささみ寿司」で多数のカンピロバクター食中毒が発生したという事件で、FOOCOM.NETで消費生活アドバイザーの瀬古博子さんが紹介されています。
肉フェス食中毒事件。肉寿司をなぜもてはやす | FOOCOM.NET
このブログでもカンピロバクター食中毒事件は何度も扱っていますが、とにかく生肉をそのまま食べることは避けるのが基本です。
しかし、瀬古さんの記事にもあるように、どう見ても生で食べることを「もてはやし」ているような主催者側の態度が見えます。
イベント紹介ホームページの問題のささみ寿司紹介には「新鮮だからこそできるささみ寿司」という表現が見え、カンピロバクターという微生物の特性をまったく知らないことが明白です。
以前に詳しく説明したように、
カンピロバクターという微生物は酸素の少ない微好気性環境の中でのみ増殖できるもので、空気中では徐々に死滅してきます。つまり、「新鮮だからこそカンピロバクターがたくさん残っている」可能性が強いものです。
また、健康であろうとなかろうと、飼育されている鶏の多くには腸内にカンピロバクターがいます。そして、居たとしても鶏のはまったく健康に生きています。
その鶏を屠殺する際にどうしても腸管が傷つき中の菌を含む内容物が肉にも飛び散ります。
したがって、「かなり多くの割合の鶏肉にはカンピロバクター汚染が見られる」のは当然のことなのです。
瀬古さんが書かれているように、下痢などの食中毒症状にとどまらず、カンピロバクターはギランバレー症候群の原因とも考えられています。
安易な鶏肉の生食(たたきなども含め)は危険ということをしっかりと報道を通じ広めていくことが必要です。
なお、このイベントでの食中毒事件発生を受けて保健所からよく加熱して提供するようにとの指導を受けたにも関わらず、主催者側は同様の食品の提供を続けたそうです。
さらに悪質極まりない態度でしょうが、普通の営業者ではないので営業禁止措置も響かないのでしょうか。
こういった点もはっきりとさせて報じることがメディアの勤めでしょう。