本書出版はリーマン・ショック直後の2009年です。
その当時の最新の世界の政治経済問題について解説されているのですが、それから7年たち状況はかなり変わっていると言えます。
この本で取り上げられたことがまったく様相を変えてしまっているものもあり、若干は解決したものもあり、多くはさらに悪化しているというものでした。
つくづく、世界の動きが激しく速くなってしまっているということを感じさせます。
冒頭は中国発のメラミン混入食品でした。当時は大騒ぎになりました。一応これは収まっているようです。
ペルシャ湾岸6カ国で核開発着手という話題もありました。中東の火薬庫が爆発寸前になるという悲観的な見方でしたが、その後は落ち着いているのでしょうか。イランの制裁解除ということにもなっていますが、今はそれよりもイスラム過激派問題が大きくなってしまいました。
その当時はビン・ラディンがアフガン潜伏というのが判明した時だったようです。しかしアメリカは手を出さず、その理由を推測していますが、その後は強襲し殺害してしまいました。
ミャンマーで取材中の日本人記者が軍隊に殺害されるという事件もありました。それにも関わらず日本政府はミャンマー援助を止めなかったそうですが、ミャンマーの政治は大きく変わりました。
スーパーモデルがギャラのドルでの支払いを拒み、ユーロでの支払いを求めたということがあったそうです。経済状況はこの数年で大きく変わってしまいました。
リーマン・ショック直後のドル不安だった頃には円高も激しくなったものですが、その後は逆方向に大きく動いてしまいました。
そのスーパーモデルさんは現在はどの通貨でギャラを貰っているのでしょうか。まだ活躍していればですが。
アラブの投機マネーがアメリカ経済を救うだろうかと言われています。その後は十分に救ったのでしょう。しかし石油安という状況で今では別の危機を作り出しているようです。
ボスニア内戦でイスラム教徒虐殺の戦犯がようやく捕まったという項目があります。
そのカラジッチはつい先日に禁錮40年の判決が下ったというニュースがありました。
裁判に7年もかかったのでしょうか。まだ内戦の傷跡は大きいようです。
巻末のまとめには、これらの世界の諸問題の根源にはアメリカの当時のブッシュ政権の罪があると断罪しています。
ブッシュがあのギリギリの選挙で当選することがなければその後の世界も大きく変わっていたかもしれません。
時間を置いてあとの時代から振り返ると分かることもありますが、だからあの当時はこうすれば良かったという考えも出そうもありません。それだけ複雑な世界なのでしょう。