気軽な暇つぶしに読むような本で、日本語の使い方について間違いを指摘するというものですが、大学教授の著者が書いているということでちょっと高級な言葉の使い方が分かるといったものでしょうか。
したがって、誤用の例についても言葉の正確な意味まで説明してあり丁寧な内容かと思います。
まあほとんどの例は知っていましたが、全てを正確に使えるかと言われるともしかしたら間違うこともあるかもしれません。
そういった例をいくつか引用してみます。
雀の涙、閑古鳥が鳴く、一縷の望み、一抹の不安
どれも少しだけというものを指しますが、雀の涙は通常は「金額」について使います。
閑古鳥が鳴くは店が流行らないこと、一縷は本来はひとすじの細い糸という意味ですが、今では「つながりがごくわずか」という意味にも使い、現在はこの例の「一縷の望み」というのが一般的です。
一抹も元々は「筆でひとなですること」を指しますが現在では不安とつなげるのが普通です。
釈然とする、得心が行く、氷解する、咀嚼する
理解・納得について使われる言葉ですが、注意すべきは「釈然」は否定形で使うのが普通であり「釈然とする」とは言わないということです。
おざなり、なおざり
これは誤用が多い言葉と思います。形もそっくり、意味も似通っています。
しかし、「おざなり」は”十分に注意を払っているべきなのにいい加減にすること”であり、「なおざり」は”取り組むべき事柄であるのに何もせず放っておくこと”と明確に差があります。
誤用の例が続くとそのうちに認められてしまうということもあるのでしょうが、まあ進んでそれを使うのはまずいでしょう。気をつけねば。