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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

機能性食品表示制度で売上5倍増にも、なんでこんなに簡単に騙されるの

食品問題

昨年スタートした機能性食品表示制度は、はじめからそのあやふやな概念といい加減な論拠を認める制度上の弱点を識者からも指摘されています。

FOOCOM.NETの松永和紀さんは何度も批判をしていますし、私もこのブログ内で取り上げてきました。

機能性表示食品について、だいぶ出そろってきたところでFOOCOM.NET松永編集長がずばり - 爽風上々のブログ

機能食品表示 蹴脂粒の届出受理を撤回しないことで消費者庁は制度を自壊させた。FCOOM.NET松永編集長が厳しく批判 - 爽風上々のブログ

 

しかし、その甲斐もなく?これらの製品の売上は非常に伸びており、中には5―6倍に達したものもあるそうです。

 

この制度について整理しておきましょう。

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1442.pdf

 

まず、トクホ(特定保健用食品)と異なり消費者庁への届け出だけで表示可能となるものであり、「国の認可」などがおりているものではありません。

上記の資料にも事業者の責任で表示できるものとされています。国には責任はないよと言っているようなものであり、事業者を信じて買うかどうか消費者の自己責任であるとされています。

 

肝心の「機能性」についてはどのような規定になっているのでしょうか。

次のいずれかの根拠により表示できるものとされています。

 

最終製品を用いた臨床試験

最終製品または機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー)

 

つまり、その製品を用いた臨床試験(自分で実施した)の結果であっても良いし、その製品または含まれている成分についての科学的論文(他の人が実施した)を引用してもよいということです。

もちろん、自分で臨床試験を実施するというのは非常に手間と費用がかかるものですから、ほとんどの場合は2番めの例によります。つまり、誰かがやった論文をそのまま引いてきて添付しただけということです。

なお、たまに臨床試験をやりましたという例もあるということは先日問題とした事例が一つありました。

「臨床試験済」ってどういうつもり - 爽風上々のブログ

まあ「臨床試験やりました」だけでは意味が無いよということを書いたのですが、それでもやっただけはマシということかもしれません。言いたかったんでしょうね。正直な会社です。(褒めてるわけじゃありません)

 

問題は「科学的論文」として引用されているもののレベルの問題です。

 

科学的論文というものは、学術雑誌とか論文誌とか言われているものに掲載される「原著論文」を指しています。

学術雑誌と言うのは最も有名なものではサイエンスとかネイチャーといったものですが、それ以外にも無数とも言える数のものが存在します。

日本にも数多くありますが、学会が出版する学会誌と、商業的に出版社が出版する商業誌とがあります。いずれも原著論文というものを主としますが、それ以外にも解説としての総説(レビュー)が掲載されることもあります。

 

原著論文(Original articles)というのは、自分自身が実施した実験や調査などの研究について実験方法、結果、考察を論理的に組み立てて記述するものです。

例の小保方論文などではこの結果の項目に疑いがあり、結局疑わしい結果にも続く考察も意味がなくなりました。

 

学術雑誌としての存在意義は、これらの原著論文を投稿されたそのままに掲載するのではなく、編集部が委託した専門家による「査読」(さどく)というものを行うことにあります。

査読者にはその分野で高度の知識と見識を持つ人が選ばれており、投稿された論文の隅々まで精査して問題点を指摘し、掲載可、修正の上再審査、拒絶といった判定を行います。その学術雑誌としての価値はこの査読者にどれだけ適切な人を選出するかというところにかかっています。

 

FOOCOM.NETの記事にも取り上げられていたのは、一部の機能性食品の提出した資料の中で、この掲載学術誌のレベルが非常に低いものでありその妥当性も不確かなものがあるということでした。

確かに、形だけの査読で掲載してしまうような低レベルの学術誌も実際に存在するようですし、それをこの機能性食品表示制度に悪用されてしまえば一般の人には見分けはつきません。

 

とはいえ、大した効果もあるとは思えない機能性食品ですが、この表示があることでより高い値で売れているわけです。メーカーと政府の狙い通りということなのですが、そんなに簡単にあぶく銭を稼がせて良いのでしょうか。

これが「経済活性化」ですか。悪徳首相が考えそうなことです。