川崎市の介護型老人ホームでの介護士による殺人事件は衝撃を与えるものでした。
介護士の容疑者は様々なストレスから犯行に及んだようですが、そこには低賃金の不満、そこから生じる慢性的な人手不足などが大きく影響しているでしょう。
また、保育園の保育士不足の影響もひどいもので、入所待機児童の増加、保育士も人手不足となり勤務者の労働過重も問題となっているようです。それに起因する事件も起きているようです。
対象者が老人と乳幼児と、人生の初めと終わりで正反対のようですが、この2つはまったく同じ状況のように見えます。
どちらも非常に人手がかかる業務でありながら、その労働者に対する報酬は極めて低く抑えられています。そのために働く人たちの意欲は削がれ退職者も多く、新たな就労希望者もどんどんと逃げてしまいます。
それでますます労働条件は悪化していきます。
もしも彼らの給与が仮に現在の2倍だったら、就労希望者もかなり多くなるでしょう。しかし、それを老人や幼児に払わせようとしても不可能です。特に非常に弱い立場の人たちも多いだけに、現在の費用でも負担が厳しい利用者が多いでしょうから、少しの費用増加にも耐えられません。
願うことができるのは公的な助成の増加だけですが、財政事情から不可能というのが政府の見解でしょう。
しかし、税金を何にどう使うかというのは、実は政治というものの根本です。
現政権は自衛力増強や大企業への助成、公共事業の増加といったところにはふんだんに金を使いたいようですが、福祉などへ使うことに対しては途端に財政事情で頭がいっぱいになるようです。
私自身、現実に現在老母が介護施設に入所しており、また近々孫が保育園入所ということにもなりそうです。まったく他人事ではありません。
「福祉党」とでも言う政党ができれば良いのかもしれません。福祉だけでは国政はできない?軍事や外交、経済など何もやらない方がマシなのではないですか。