食に対しての危険というものはどんどんと大きくなっているようです。(本当の危険ではないものもありますが、極めて危険なものも数多くなっています)
その危険性は様々なものがありますが、それらについて食料や農業に関する活動をしてきたお二人のジャーナリストが取り上げています。
しかし、あまりにも範囲を広げすぎた観があります。確かにあれもこれも危険というのも間違いはないのでしょうが、貧困による食料購入困難者の問題から、経済グローバル化による各国農業の壊滅、食産業での労働者の酷使、中国餃子の農薬混入まで取り上げてしまうと、どこに問題があるのかわかりにくくなってしまっています。
全263ページの本ですので、もう少し絞って書いた方が良かったようです。
とは言え、せっかくですから取り上げられた話題の題目だけでも並べてみます。
世界に広がる食料危機 ゴムやユーカリなど商品作物栽培に転化して食料生産が疎かに
中国餃子の農薬混入事件は日本発のブーメラン
貧困が食卓を襲う
自由貿易はアジアの農村に何をもたらしたか
名ばかり店長の反乱
なんと吉野家牛丼までコープ商品
貧困の連鎖の中の食
大型商業施設でお店が消えた
食料主権と市民社会
メタボで儲ける
等々です。
非常に幅広い話題を取り上げているのは明らかですが、一つ一つの記述はわずかなものです。
本当なら書籍5冊分以上のボリュームではないでしょうか。
批判の相手も大体はグローバル大企業やそれと結託した政府のようですが、これだけ広げると何でもそいつらが悪いという大雑把な記述にもなってしまったようです。
そんなわけで、「それは大変ですね」といった浅い感想を持つのが精一杯というのも本の作り方としてはまずいのではないでしょうか。