内閣府・食品安全委員会が健康食品の有効性・安全性について19のメッセージを発表したということを毎日新聞で小島正美記者が記事にしています。
http://mainichi.jp/articles/20160115/ddm/013/100/008000c
食品安全委員会は内閣府の審議会ですが、外局である消費者庁が管轄している機能性食品表示の問題が暴走気味なのに危機感を覚えたのでしょうか。
この問題については、FOOCOM.NETの松永和紀編集長も「編集長の視点」で記事を書いています。
健康食品の安全性や有効性は確立していない〜食品安全委員会の過激なメッセージの本音を、1月28日の説明会で聞こう | FOOCOM.NET
毎日新聞の記事は事実のみを報道したものですが、さすがに松永さんは詳しい解説をされています。
食品安全委員会の佐藤委員長と脇さんが特に強調したのは次の5点ということです。
●「食品」であっても安全とは限りません。
●多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。
●ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあります。
●「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。
●誰かにとって良い「健康食品」があなたにとっても良いとは限りません。
これらの点を強調しなければならないのは、それらをないがしろにするような健康食品販売者の宣伝がはびこっているからに他なりません。
「食品」だから、「天然物」だからいくら摂取しても安全といった宣伝はいくらでも目にします。
しかも品質管理がいい加減なものも多いのも事実のようです。
松永編集長が強調しているように、これらの問題点はいわゆる健康食品だけでなく、「特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品も含む」というところでしょう。
一応国家機関の認証を得ているのですが、その内容はお粗末なものもあるということは注意しなければならないところです。
松永さんが報告書の内容から独自にまとめた結論としては、
※ 通常の食品には含まれない成分、食経験がほとんどない成分をとる場合がある。天然、自然、ナチュラルなどは安全を意味しない
※ 医薬品成分を含むものがある
※ 成分の抽出や濃縮などが施され、大量摂取につながりやすい。とくにサプリメントは要注意で、味やにおい等がないため、摂取に歯止めがかかりにくい
※ 個人が自己判断でビタミン・ミネラルのサプリメントを摂取するのは、過剰摂取のリスクを伴いやすく、中毒例なども数多く報告されている
※ 形態が医薬品に似ていても、医薬品並の品質管理は行われていない。同じロットの中でも均一性がなかったり、成分が少なかったり過剰に多かったり、有害物質の混入など、問題例は数え切れない
※ 普通の食品であれば日々、種類は変わるが、健康食品は同じものを一定量、毎日食べる。そのため、長期の大量摂取になり、有害作用のリスクが高まる。
※ 「健康になりたい」として病気の人、高齢者、子ども、妊婦などが摂りがち
※ 健康食品を食べるから、という理由で、医薬品の摂取をやめてしまったり、医師には相談せずに医薬品と合わせて摂取して相互作用を生じたり、健康食品を複数とることによる悪影響等が起きやすい
ということになるようです。
現在の健康食品の状況はあまりにも商業的な観点が過剰に出てきているようです。
テレビCMもひっきりなしですので、テレビ側からの問題点追求も(スポンサーへの配慮から)甘くなりがちということもあるのでしょうか。
私も微力ながらできるだけ取り上げていきたいと思っています。