爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

NATROMの日記 2015年の自選ベスト3の記事

現役の内科医で以前から「ニセ医学」といったものに対して厳しく批判する記事を書いているNATROMさんの「NATROMの日記」と言うブログがあるのですが、その2015年12月31日付けの記事は今年の自選ベスト3と言う記事でした。

NATROMの日記 (2015.12.31)

取り上げられているのは、1過剰診断とは何か、2なぜEM(EM菌)はインチキでニセ科学と言われるのか、3MCS(多発性化学物質過敏症)の本物の性質が認識されている公式の報告書ってどれ。というものです。

 

いずれも以前からずっと医学分野を騒がせている論争の主役(EMは医学以外が主戦場のようですが)です。

詳細については元の記事を読んでいただいた方が間違いないと思いますが、さらっと触りだけ。

 

過剰診断というのは医師には既知であったようですが、一般にはあまり知られていなかったことのようです。特に典型的な例としては一部の前立腺がんが挙げられるようですが、調べればガンに罹っているということが分かるのですが、進行が遅く別に対処しなくても(対象者が高齢の男性が多いので)それが命にかかわるということは少ないということのようです。しかし、ガン診断の普及によって見つけなくても良いものも見つかるようになったということのようです。

実はこの話は福島原発事故影響を調べるための甲状腺がんの検査にも関係するようです。

なお、これは例の近藤誠氏の主張とは異なるということはNATROMさんも強調しています。

 

EM菌については、医学分野というよりは農業や環境問題の方が多いのでしょうが、下手に医学に出てきたのが問題でしょうか。

NATROMさんは医師ですので、医学分野だけの話をしておこうという立場です。EM信奉者にはおかしな人がたくさんいて、変な噛みつき方をしてくるようです。場合によっては裁判沙汰という例も載っています。

元々がEM菌自体が科学以前のものですので、科学的論文などというのもほとんどまともなものは無いのですが、それでも揃えて出してやろうという人はいるようです。

 

MCS(多発的化学物質過敏症)については以前からNATROMの日記でも繰り返し取り上げられています。その症状に苦しんでいる患者は確かに存在していますが、それが一部の医師の言うように化学物質過敏症であるという証拠はないというのが大多数の医師の立場でしょう。

しかし、それに対して公式の報告書が出ているという指摘も相変わらず出ています。そういったものがあるのならはっきりと例示しろということもNATROMさんは繰り返し言っていますが、それに答えられたことは無いようです。

 

NATROMさんは最近著書も出版されているようです。「ニセ医学に騙されないために」

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ただし、ここでも著者名は「NATROM」のままでした。