爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「スポーツを”読む” 記憶に残るノンフィクション文章讀本」重松清著

フリーライター、作家として活躍している著者がスポーツに関する文章を書いているライターを取り上げその批評を書いているものです。
一人当たり4ページほどですので、多くのライターを紹介しています。

どうしても野球関係が多いのでしょうが、それ以外にもサッカーやオリンピック種目、さらにはプロレスや競馬に至るまでスポーツ関連で文章を書いている人はかなりの数になります。その中で名作家と言われる人も多いのですが、そういった名作家ばかりでなくほんの数編スポーツに触れただけの小説家と言った人にも及んでいます。

プロ野球ととってみても、それに対する態度から見ても作家により大いに違いはあります。玉木正之は「不思議の国の野球(ベースボール)」という本で日本の野球を屈折した見方で書いています。また小関順二は野球に関する細々な点にとらわれることなく、「プロ野球、問題だらけの12球団」でプロ球団の「人間ドラマ」以外のすべてを網羅しているそうです。ほとんどの作家がプロ野球と言うと選手や監督それぞれの「人間ドラマ」を描写したがるのとは距離を置いているようです。

あまり知られていない作家かもしれませんが、”豊福きこう”という人は「水原勇気1勝3敗12S」という本を書きました。これは水島慎二のマンガを徹底的に読み込みそこから自分の本として描き切ったようです。なお、彼は前ソフトバンクホークス監督の秋山幸二氏と八代高校時代の同級生だったそうです。豊福と言うと八代市内に食堂があるのですが、その関係者でしょうか。

スポーツ文学というものは大きな一分野を形成しているようです。多くの人材がその中で活躍しているのですがそれを取り上げて一冊の本にしてしまうというのも作者の腕なのでしょう。