爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ドット・コム・ラヴァーズ ネットで出会うアメリカの女と男」吉原真里著

インターネットでの男女の出会いと言うと日本では「出会い系サイト」といった形でかなり怪しいイメージを持たれています。
しかし、アメリカでは「オンライン・デーティング」と言ってもさまざまなサイトがあり、確かにセックスだけを求めるような人々が集まるものもあるようですが、かなり真剣に結婚まで考えて交際相手を探すというようなサイトもあるそうで、実際に最近では結婚するカップルの数十%がこれらの手段で知り合ったということです。

そのようなサイトに実際に登録し、様々な男性と交際をしたという記録を、アメリカ生まれながら日本で大学を卒業し、その後アメリカの大学で教職についている著者が経験を通し書き連ねています。
著者はハワイ大学勤務ですが、1年間だけニューヨークで仕事をする機会が得られ、その時にオンライン・デーティングを利用して交際相手を探そうとしたそうです。
日本と比べるとアメリカ、特にニューヨークではオンライン・デーティングを利用するということは普通のことというイメージで捉えられるそうで、別に隠しておくということでもないといった雰囲気になっているようです。

著者はそういったサイトの中でも最大手と言われる、match.comというところに登録してみることにしました。登録メンバーの数も多く、料金も比較的安くて月に20ドル程度ということです。
登録するとまず、サイトに「プロフィール」という自己紹介ページを作成します。著者がその後相手を探す際にもこれを見て判断するわけですから、この作成自体がその後の成果を左右する重大なものであり、中にはかなりの日時をかけて作成するという人もいるようです。
どの程度までプロフィールに書くかと言うことは設定項目以外はかなり自由に任されているようで、著者は職業(人文系大学教授)や自分の研究の概要、趣味の音楽などかなり詳しく書いたそうです。これも理由があり、その後の交際の展開を考えるとある程度こういった著者自身の個性を理解できない人であれば時間の無駄ということになりかねないという思惑からでした。
写真を載せるかというのも自由ですが、アジア人であるということも隠しておくとかえって面倒なことになるので途中から載せることにしたそうです。もちろん著者が相手の男性を選ぶ際も写真の印象をかなり重視しています。

これから10数人が次々と現れるのですが、やはり会ってみて少々会話して(dateするわけです)まったく合わないと感じる人はすぐにパスということになるそうです。(ケミストリーがないと表現しています)
また著者自身はぴったりと感じていても相手がそう思わないという例もあります。また順調と思えるような付き合いの相手でも不可解な理由で音信不通になるという例もありました。
さらに、ちょっと怪しいと思い放っておいたらストーカー化したということもあったそうですが、無事に収束したようです。

ニューヨーク生活が1年だけと限られていたということもあり、結局は深い付き合いとなる人もできなかったようです。その後ハワイに戻ってからも継続して相手を探したそうですが、ニューヨークと比べるとはるかに狭い社会であり、同じ大学の人がぞろぞとと登録して居たり、別れた人としょっちゅう顔を合わせたりとなかなかやりにくいもののようです。

なお、もちろん著者自身が参加したわけではないのですが、同性愛者専門のサイトと言うのもあり、ちょっと覗いてみたということはしたようですが、詳しいその内容も伝聞で書かれています。一般向けとはちょっと変わった雰囲気のもののようです。

日本でもそれらサイトの活動は開始されているようですが、一般に受け入れられるようになっていくのでしょうか。結婚相談所に登録というのも隠れてするような社会ですのでなかなか浸透するのには時間がかかるのではないかと思います。