爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「世界二ホン誤博覧会」柳沢有紀夫著

著者はオーストラリア在住のコピーライターということですが、現地でたまたま日本語の看板を見かけたそうです。それが「日本語でどづぞ」とあってびっくりしたそうなのですが、それから気を付けて見ているとそれに類した日本語の誤用というものがしばしば目についたということです。
それで、他の国ではどうかと言うことも気になり、自分で行くわけにもいかないということでネットで募集しいろいろな例を収集したわけです。

日本語誤用といってもそのタイプは様々であり、その対象もいろいろ、間違え方にも差がある、さらに国によっても大きく違うということもあるようです。

ターゲットとして、まず「訪れる日本人に読ませることを目的として日本語を使ったけれど残念でした」というものと、「現地の人々に買わせるもので、装飾として日本語を使った」というものがあるようです。前者は当然ながら日本人向けの店などの看板や案内板、メニューなどに見られます。後者は日本人を直接相手にするつもりはないので、現地人向けの商品のパッケージなどに使われているものが多いようです。

間違え方としては、もっとも多いのは「似た文字を使ってしまった」というものです。日本人からすると似ているとは思えないのですが仕方のないものもあるようです。例えば、ひらがなで、「ま、は、け、ほ」「こ、て、へ」などは入れ替わって使われる例が良くあるようです。カタカナでは「ケ、ク、タ」、「ツ、シ、ン、ソ、リ」は間違えやすいのでしょう。ひらがなとカタカナでも「つ、フ」「し、レ」「こ、ニ」などはありそうです。
こういった文字の入れ替わりというのは、日本でも幼児が文字の覚え始めにはよく見られるようです。確かに間違えても無理はないものでしょう。

国による差と言う点では、看板類は当然ながら日本人の旅行者が多い中国、台湾、韓国、東南アジアなどに頻発です。ハワイは昔は多かったようですが最近は日本人が多すぎて正確に書かれるようになったとか。
パッケージ使用の例は逆に日本人があまり行かない国にも多く、さらに本当の日本人というものに触れたこともないために、トンでもの間違え方をしてしまう例もあるとか。それでも使うというのは日本語使用ということで何となく品質も良いような気分になるという、まあ嬉しいような話です。逆にパッケージ型は韓国にはまったく存在せず、これは日本語表示をすることが完全に逆効果になるお国柄だからだそうで、これは少々残念な点です。

すごい例をいくつか、中国のマッサージ屋の看板に「フツトマツサニヅで健康になろう」、香港の同じくマッサージ屋の看板「腰の辺鄙なコツーヅ、足の底はユツサーヅします コぼのめんま
中国で日本映画の看板「ビソボソ」
ほとんどなんだかわからないのですが、現場の写真を見ると何となく納得できるかもというものです。

なお、パッケージなどに使用というのは日本でも逆に英語やフランス語を書く例はいくらでもあります。何となく憧れを抱くものを書いてしまえば売れるということなんでしょう。少々悲しい人間性かもしれません。