爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

労働者派遣法改正案審議

派遣労働者の固定化を狙った労働者派遣法「改正案」が審議を急がれているようです。このようなものをとても「改正」とは言い難いと思うのですが、一応そのように名づけられているようなのでそのままにしておきます。
正規雇用の労働者を派遣に置き換える動きが強まったために一定期間を越えて派遣雇用をした場合は正規雇用にするというのが現在の法律ですが、それでは使いにくい(本当は賃金が上がるのが嫌)という経営側の要望を受けての法律改定でしょう。
そもそも、正規雇用労働者の仕事を派遣にしろ契約にしろ置き換えるのにしても労働報酬は変わらないのが本当なのですが、同じ仕事をやらせていても格段に安い賃金で済ませているのが実情です。

このところ、色々な本を読むようになり経済関係や労働関係の書物にも触れるようになりましたが、ある本によれば(ぼかしているわけではありません。どの本か忘れました)企業の総経費に占める労働者賃金の割合(労働分配率)は低下する一方だそうです。それで企業体質は強化されたと言いたい連中が数多く居ます。
しかし、これもある本によれば(!!)そこで首を切られ、また安い賃金にされた労働者たちが一方では「消費者」であるのです。そのような態度で多くの企業が労働者に渡す賃金を削減していけば、それは間違いなく消費者購買力の減少となり、いずれは企業の売り上げ減少につながっていくのです。
企業の体力強化と言いながら社会の体力はどんどんと落としているのでしょう。

グローバル経済の世界では仕事をどんどんと労働者賃金の安い国に移転させていきます。それはある意味ではこれまで存在していた国際間の不平等の緩和に見えるかもしれません。しかし、そうやって仕事を得た国々(現在の低開発国)にもそれほど多くの報酬が回るわけではありません。すずめの涙程度のものでしょう。その利益の多くはどこへ行ったかと言うと、グローバル企業の本社(おそらくほとんどはアメリカ)に渡っているのです。このような経済競争としては正当な動き(勝つか負けるか)でありながら、倫理的にはまったく不公正としか言えない動きが加速しているのです。

アメリカでもほとんどの人々は貧困に落とされており(99%の人は貧困と言われています)残りの1%にすべての富が集中しています。その言いなりになっているのがアメリカ政府であり、その操り人形が日本やヨーロッパの政府です。彼らが何をするのか見ていれば、不公正というのがどういうものか良く判るでしょう。