心理学者で学習院大学の学長も勤められた著者が、心理学そのものについて書かれたものなので、心理学の成果の細かいところなどを描いたと言うものではありません。したがって、ちょっと話が抽象的で難しい内容となってしまいました。
心理学というと一般の人の反応は「心理分析をやる」といったものに偏り勝ちで、通俗的な読み物などにも「これこれの仕草から判る本音」などと心理分析まがいの文章はよく見られるところです。
著者も大学生の頃に心理学を専攻すると母上に話したところ「八卦見になるのか」と言われたそうで、一般の理解としてはそれとほとんど変わらないのかも知れません。
しかし現在の心理学と言うものはそのようなところに止まることなく「こころ」に関する発見と理論の構成といった方向に進んでおり、意味の世界、また人の社会とのかかわりなどに広がってきているということです。
まあ具体的にどのような事例ということも紹介しにくいものであり、細かい点まで読み込むわけにも行かず、少々消化不良気味でした。