爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

”賀茂川耕助のブログを読んで”No.1107 グローバル化の懸念

今回の賀茂川耕助さんのブログは「グローバル化の懸念」というものです。こちらでも繰り返し主張していることですが、賀茂川さんらしいアメリカの内情の深い洞察があります。
http://kamogawakosuke.info/2015/04/06/no-1107-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%81%AE%E6%87%B8%E5%BF%B5/#more-5336

「国内市場が飽和状態になると、企業は利益を増やすか維持するために賃金を下げ始めた。消費者とは労働者とその家族であり、賃金の減少により国内消費は減退した。そのため景気が落ち込み、1929年の株式市場の暴落から恐慌となり、第2次大戦が始まるころまでそれは続いた。」という点は実に端的に最大の問題点を突いています。
国内での生産を海外に移転したら労働者の元に入る賃金もなくなり、国内市場がやせ細るというのは当然と言えば当然過ぎる話ですが、それを理解せずに目の前のコスト削減に釣られて安易な道を取る経営者がどれほど多いことか。
中国やベトナム、タイに工場を作っている会社をリストアップし不買運動を起こせば、何も買えるものがなくなるでしょうが。

「1945年の終戦で兵士が戻ってくると、元の職場には女性労働者がいたが、多くは働き続けることを希望したため労働力供給が増え、軍需も減ったため賃金が大幅に下がり、アメリカ経済は再び低迷し始めたのである。これを解決するためにアメリカ政府はソ連との冷戦を開始した。同盟国のためにドイツと戦ったソ連を、戦争が終結してわずか2年後に敵と見なしたのだった。アメリカの軍需産業はこれで復活したが、労働者の賃金を上げるには不十分で、この頃からアメリカでは共働きが固定化した。」というのは米ソ冷戦というものの構造がよく判る秀逸な指摘かと思います。戦争を景気浮上の手段とするアメリカの手口がはっきりとわかります。

日本の政権もそれを知らずに対米盲従をしているのではないでしょう。良くて共犯、悪くすれば使いっ走りでしょう。