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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「明治維新のエネルギーとのかかわり」

エネルギー文明論

普段はテレビドラマなどはほとんど見ないのですが、NHK大河ドラマだけは今年も見ています。吉田松陰の妹が主役ということで、松下村塾の塾生も多数出ており、史実とは異なりイケメンばかりなのは仕方のないことですが、その主要メンバーはほとんど明治維新への過程で死亡し、明治政府の中枢となったのはそこのその他大勢だったということは良く知られていることです。

さて、明治維新に至る道筋の中で土佐藩などの公武合体派がかなりの程度まで穏健改革を進めていたにも関わらず、長州が暴走して結局幕府を完全に打倒するに至ったという説は広く唱えられており、そのために長州藩の若者が多数命を落とすことになったものの、その甲斐あってか?明治政府以降の政界では長州閥の優勢が強く、それは現在に至るまで続いており現在の首相も一族そろって長州閥政治家です。

それはともかく、穏健改革を打倒してでも完全な維新を実現しようとしていた背景には、圧倒的なヨーロッパ主要国の力を見せつけられた人々が性急な改革の道を取らなければ清国のように植民地化の危険もあると自覚していたことが要因のようです。
その是非は様々な論議があるでしょうが、そこにここでこれまでも論じてきた「エネルギー文明」が大きな影を落としています。
攘夷運動に血道を上げていた長州藩イギリス海軍と戦い、圧倒的な火力で敗戦します。それで単純な攘夷では対抗できず幕藩体制を打倒して国体を変えざるを得ないと言う方向に進むのですが、その「圧倒的な火力」や「蒸気船」といったものが日本人にあせりを産んだということにつながっていきます。
これらは、すでに石炭火力によるエネルギー化した文明であったヨーロッパの力ということになり、そのようなエネルギー源の利用は鎖国を始める前の17世紀初頭まではまだほとんど動きの無かったヨーロッパ諸国がその後の200年間に急激に動き出したからに他なりません。
鎖国直前にはヨーロッパが若干進展していた鉄砲の技術をすぐに取り入れた日本はあっという間に全土に鉄砲を普及させてしまいました。鎖国が無かったら蒸気機関も伝わればすぐに技術を消化してさらに発展させたかも知れません。

江戸幕府の末期にそのようなヨーロッパのエネルギー技術と触れたために、武力による幕府打倒とその後の薩長による強権的な政権の殖産興業、富国強兵といった歴史につながるのですが、徐々にそれに触れていればどうだったろうかと考えてしまいます。

幕末から明治維新にかけて、日本が取り入れようとした「ヨーロッパの強力な文明」というものは実は「化石エネルギーを使うという文明」でした。それが圧倒的な武力というものにつながっていた以上、当時としてはそれに加わるしか国としての道は無かったのでしょう。しかし、これから先は「化石エネルギーから卒業しなければならない文明」です。そこにはまったく見習うべき前例はありません。自分で考えなければならないものです。そしてその選択が運命を左右します。