著者は数学を専攻し、その後受験数学の指導をする傍ら数学専門誌に著述もしているということです。
ユークリッドは古代ギリシャの数学者で、一人で行ったのではなく学者集団で数学を研究していたようですが、「原論」という形でその業績を残しました。
現代数学とは表現方法が異なる点もありますが、数学発展の原点ともなったものでしょう。
原論は定義から公理公準、命題という構成になっています。しかし、現代の数学と異なるのは証明の中に根拠が書かれていない、そして文字を用いた代数計算ができないという点で異なっています。
したがって、現代数学の頭から見るためにはかなり翻訳が必要となるようです。
また、原論とは直接は関係ないのですが、名前だけは有名なのが「非ユークリッド幾何学」です。これは平行線の公理のところの、直線外の1点を通り直線に平行な直線はただ1本であるという点を「0本、2本以上」と変えることで成立する幾何学ということですが、球面幾何、双曲面幾何ということになるようです。
黄金比というものがあり、1:1.1618という比率なのですが、これもユークリッドでは√(ルート)を使えないという制限の中でもきちんと定義されていたということで、かなり複雑な証明がされています。
円柱と円錐の体積比が3:1となるという点も、現代では内接・外接の正n多角形でnを無限大にすることで求められますが、ユークリッドでは極限ということは考えられなかったので複雑ではあるがはっきりとした証明がされていたそうです。背理法が使われたということですが、すぐには理解できません。
幾何でありながら代数的な問題もすべて線分で解いているかのように見えます。大した物だと感心しておくだけにしておきます。