爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

日本人の「生もの」好き テレビ番組から

昨夜は家内に付き合ってテレビを見ていたら、外国人が理解できない日本人の食生活として、生卵が挙げられていました。
すき焼きや、卵かけご飯などはまったく受け付けられない外国人が多いそうです。
ヨーロッパにも生牡蠣やカルパッチョなどごく一部には魚介や肉を生食することもあるようですが、限られた状況でのみの話のようです。

魚を生で食べるというのは寿司の世界的な普及でかなり抵抗が少なくなってきたのかもしれませんが、やはり基本的には「生は食べない」というもののようです。
その理由も明らかで「食中毒が怖い」です。

これは当然の話で、衛生状態が悪いと言うのが常識のようなアジア・アフリカ各国だけでなく、アメリカでも卵のサルモネラ汚染が多いことは良く知られており、サルモネラ中毒も頻繁に発生しているようです。
日本で卵の汚染が少ないというのも実は生産者が非常に厳しく衛生管理を徹底し薬品を適度に使用しているからだそうですが、それでも完全に無くしているというわけではなく、厳密に調べればごく微量の菌は存在していることがあるようです。場合によっては外側だけでなく内側に入っていることもあるために洗えばよいというものでもありません。
そのために、不適切な取り扱いをして菌を増殖させてしまい食中毒を起こすということが日本でもたまに発生しているようです。これは大量に卵を使って料理するような事業者で、割ったままの卵液を常温に長期置いてしまってサルモネラの増殖を起こしてしまって、できた料理が汚染されてしまったという例が多いようです。
とはいえ、新鮮な卵を割ってすぐに使えばほとんど食中毒の危険はないという程度にコントロールされています。しかし、これらの対策は確実に卵の価格には跳ね返っているはずです。

件の番組では、その後の話の展開は「魚などを生で食べるのは手抜きではないか」という方向に行ってしまい、本当の生食の危険性については触れていませんでしたが、そのような日本人の生食好きの危険性というのは言うまでも無くレバーや鶏肉の生食での食中毒発生です。
魚の場合は以前はビブリオ汚染が多く、流通中に温度が上がるだけで危険性が大きくなったのですが、最近は陸揚げ時の真水洗浄や流通温度の低下といった努力によって非常に少なくなってきているようです。
肉の場合の危険性は、健康な家畜であっても体内に保持している大腸菌カンピロバクターが屠殺され精肉されても残っているというもので、非常に手間のかかる精肉処理をしなければ避けられないようなものです。
ようやく知られてきましたが、馬肉が生食できるのは専門の衛生的な屠殺設備で行われているからで、一般の牛豚用の施設では不十分です。ましてや鶏ではほとんど無理な話です。

日本人の生食好きというものはまったく罪作りな性癖で、危険と隣り合わせであることを啓蒙しなければいけません。時折、鹿やいのししなど野生動物を生食して肝炎などを発症と言う事例もあるようです。川魚の生食も危険性が大きいのですが、止まりません。まるで自殺行為と言わざるを得ないものですが、もっと周知させるように関係各所が努力すべきでしょう。