2005年の出版の本ですが、その当時に起こっていた重大事故についてその技術的な原因追求をしていったものです。
日経の関係者と思われる「日経ものづくり」というグループの人により書かれています。
取り上げられている事故は、三菱自動車のハブ破断、JR福知山線の脱線事故、スペースシャトルの空中分解、アスベスト被害、美浜原発蒸気噴出、HⅡロケット爆発等々です。
現在でも原因が確定しているとは言えないものもあるようですが、当時はまだ調査中というものもあり、それについても原因を断言するという挑戦的な書き方もされています。
日比谷線の地下鉄で脱線事故があり死者も出るという事故もありましたが、その原因も当時は(今でも?)確定はしていなかったようです。競合脱線や線路の切削など色々検討されていたそうですが、復旧のために現場の保存ができなかったことで原因究明の手段がなくなったことを批判されています。輸送のためには復旧は急がなければならないのでしょうが、それで永久に?原因究明ができなくなったというのも事実でしょう。
スペースシャトルはすでに飛ばなくなってから長くなりますが、本書出版当時はその最後の時期でした。しかし大きな事故を2回起こし全員が犠牲となりました。耐熱のタイルを貼り付けて大気圏再突入の熱から守るということになっていましたが、タイルの落剥というのはしばしば起きていたことのようで、たまたま機体に再衝突したことが大事故につながりました。明らかに設計の不備だろうということです。
なお、機体再使用でコストが削減できるということだったのですが、実際は一回当たり600億円かかっており、上げられる重量を計算しても日本のHⅡAよりはるかに割高だったようです。これも計画実施の予算を取るためにあれこれ取り入れた中途半端な設計となったことが原因となったようです。
技術的にもかなり深い内容まで掘り下げた濃い本だったと思います。