爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「台風学入門 最新データによる傾向と対策」村山貢司著

九州に住んでいると気象災害でもっとも恐ろしいのは台風です。

その台風について解説してあるらしい本を見つけたので読んでみました。

著者は気象予報士でテレビでも見かける村山さんです。

 

台風と言うものが発生するメカニズムの基本としては、太陽からの熱が地域によって異なることによる温度差を解消しようとして起こる気象変化ということです。

太陽光が角度なく当たる赤道地方の高温と極地の低温とをかき混ぜようとする仕組みがこういった気象現象を起こします。

 

世界的な取り決めにより、日付変更線から西側の太平洋から南シナ海で発生するのが台風、太平洋の東半分、大西洋、カリブ海で発生するのがハリケーン、インド洋で発生するのがサイクロンとされています。

日本の規定では熱帯低気圧で中心の最大風速が17.2m/s以上になると台風としています。

ただし、国際分類では24.5m/s未満のものはtropical storm 32.7m/s未満のものはsevere tropical storm 32.7m/s を越えるものがtyphoon,hurricane と呼ばれるという違いがあり、このためハリケーンというのは常に巨大であるようなイメージを受けますが、ハリケーンと呼ばれるものは強大なものだけだということは注意する必要がありそうです。

 

台風による災害では大雨と強風のどちらかが強いという場合もあります。雨台風と風台風という風に呼ばれますが、実際は両方とも強いというものも多いようです。

雨台風となるのは梅雨前線や秋雨前線が日本列島上に停滞しており、台風が九州から本州の太平洋岸に進んだ時に特徴的に現れます。太平洋からの水分が大量に吹き付けるためです。

一方、風台風と呼ばれるものは東シナ海側から九州の北部に近づき、そのまま日本海側を進む場合が多いようです。またこのような場合に竜巻を発生させ被害を出すことも多いようです。

また高潮による浸水被害が出るのも台風の被害として特徴的なもので、1959年の伊勢湾台風は死者5098人という大きな被害が出ましたが、そのほとんどは高潮による浸水による被害でした。気圧低下による吸い上げ効果と強風による吹き寄せ効果が重なって起こるもので、地形により危険性が高くなることがあります。

 

これまでの大きな被害を出した台風には、伊勢湾台風のほかにも1934年の室戸台風、1961年の第2室戸台風、1954年の洞爺丸台風などがあります。

室戸台風の時は大阪市内でも最大風速が60m/sを越えたものでした。

また洞爺丸台風は日本上陸後も発達を続けたという特殊なもので、鹿児島沖では中心気圧970hPaという弱いものだったのが北海道付近では954hPaまで低下したそうです。また時速100kmで通過したために気象予報が間に合わず、洞爺丸以外にも連絡船5隻が沈没するという被害を出しました。