著者はモルガン銀行などでディーラーとして活躍、現在は国会議員となっているそうです。
本書は2012年8月の出版で、安倍内閣の直前ですがまあ現在でも円安に振れて株式は上昇していますが、基本的にはこの危機的状況に変化はないはずですので、著者の言う日本沈没の危険性はなくなっていないはずです。
一番の危険はなんといっても巨額の国債残高が国家財政の信用を失わせ、いずれは財政破綻となり、ハイパーインフレとなるということです。
ほとんどの国債が国内保有であるので大丈夫とかいう議論をされていますが、これは外国から買う気もしないほどの不人気な国債であるためで、決していい状況でないはずです。
銀行が国債を買い続けるということはできないはずです。いずれは限界が来ますがその時には日銀が買えばよいという人もいます。しかし、そうなればハイパーインフレとなるのは間違いないことなので、結局は国の経済破たんに向かうということです。
そのような中で少しでも被害を少なくするためにはやはり海外の資産を増やしておくこととか。海外にすべて移すということは他の危険もあるので、資産の一部を海外それもアメリカの株式などにしておいた方が良いということです。
この辺のところまではまだ同意できるものもあるのですが、そこから先はちょっと納得できない記述も多々あります。おそらく金融資本主義の真ん中で活躍されてきた著者ですので、骨の髄までその思考に漬かり切っているのでしょう。
リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンなども、それを資本主義の終末とまで言う人がいるがそれは間違いで、あれは単に値段の付け方を間違えただけとか。
日本の金利が動かないのも日本が実質的に社会主義経済であるためで、大きな政府、規制過多、結果平等という社会主義の害悪に毒されているためとか。
日本は格差が広がっていると言うが、餓死するほどの貧者も居らず、アメリカのように大富豪も居ない平等社会だということです。
どうも感覚がまったく違うようです。