爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「科学で勝負の先を読む」ウィリアム・パウンドストーン著

副題は「投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイド」というものです。

さまざまな勝負では先を読んだ手を打つということを誰でもしているはずなのですが、それは勘に頼るばかりで科学的に見ると明らかに間違いと言うことが多いようです。

それらをいろいろな例を挙げて解説しています。

 

1950年代にはすでにコンピュータの開発の一環として勝負事にあたっての人の行動と言うものの分析と言うことが行われていました。その過程で見つかったことは、「人の打つ手と言うものはランダムなどではなく、経験や感情に影響されてあるパターンが生じる」と言うものでした。

これを上手く利用しているのが「メンタリスト」と呼ばれる人々で、実利があるかどうかはともかく、ショーとして商売にしている人もいます。結構観客を驚かせることができるようです。

 

多肢選択式のテスト問題。

テストを作る側は正解がランダムに並ぶようにしようとします。しかし、たいていは上手く作ることができずにあるパターンで並んでしまいます。それを知っていれば正答を知らなくてもある程度正解の可能性が高い答えを選ぶことができます。

〇✖式の問題の場合、正解は〇であることが多い。また問題がいくつも並んでいる場合に〇と✖が交代で出る確率が多い。

4択の問題の場合は「2番目」が正答となることが多い。5択の場合は「真中(3番目)」が正答となることが一番少ない。

多肢選択式の問題では文字数が一番多いものが正答であることが多い。等です。

 

アメリカの宝くじ。(日本のロトやナンバーズのようなもの)

当たりの確率が多いのを選ぶのは不可能。しかし、同じ番号を選ぶ当選者が多いと当選金を分割しなければならないので少なくなる。したがって賭ける人が少ない番号を選ぶと当たった時の当選金が多くなる。

好まれる数字の傾向は決まっていて、最初の数字としては0,9,8を選ぶ人は少ない。

数字を選ぶロト式のくじの場合、日付になる数字は選ばれることが多いから避ける。

 

テニスのサーブ。

フォアとバックで力量に差があればそっちが狙われますが、同等の場合はどちらを狙うかでレシーバーの予想と逆をいけばエースになる可能性が高くなります。ここで下手に考えて選ぶとかえって相手に読まれることが多くなります。そこで腕時計や心拍計などを手にはめておき、それをサーブ前に見て奇数か偶数かで方向を決めるという方法が推奨されています。

 

パスワード。

これも日本でも大問題になっていますが、アメリカでも安易なパスワードを使う人が多いようで一番人気の高いものが「123456」だったそうです。他には「Epsilon793」(スタートレックで船長が使うパスワード)、「8675309」(80年代のヒット曲に出てくる電話番号)など、簡単に破られてしまうものが多く使われているそうです。

ATMの暗証番号は4ケタの数字であるためにさらにひどい状況で、多い方から「1234」「1111」「0000」「1212」「7777」「1004」だそうです。セキュリティから見ると論外なんですが、使う方からすると覚えるのが面倒というのがすべてに優先しそうです。

取るべき対策は、ランダムなパスワードを作成すること、そしてそれを覚えやすいフレーズに転換して記憶すること。だそうです。それでも面倒。

 

株式市場を読む。と言う章は著者もかなり力を入れて書いているようですが、詳しく読むのはあきらめました。どうせあまり参考にはならないでしょう。

 

確かにこのような知識があるかどうかで色々な勝負ごとに有利になるということはあるのかもしれません。