池田さんと養老さんの共著の本と言うと「ほんとうの環境問題」というのを先日読みましたが、世評はいろいろと言われていますが、すべてを認めるわけにはいかないものもかなりの部分はまともなことを言っていると感じます。中にはこれはちょっとというところもありますが。
本書は東日本大震災の直後、まだ復興というものも本格的には動き出さない頃に書かれたもので、両者がそれぞれ書いた部分にはさまれて二人の対談部分が置かれています。
大震災、大津波、原発事故と大きな災害がほぼ同時に起こったわけですが、後々まで大きな影響を与えたのはやはり原発事故でした。そのため本書の内容も原発の事故とエネルギー問題が大きな部分を占めています。
エネルギーに関する認識には多くは賛同できます。
たとえば、養老さんの意見として「エネルギー消費の増加と経済成長は完全に相関している」というものがあります。この認識がないためにエネルギー供給が頭打ちになっている状況で経済成長ができないというのが現在の世界であるということが分かっていないのが問題なのですが、これは東京大学生産技術研究所の渡辺正さんがデータで示していたそうです。
渡辺さんの本はたしか読んだことがありますが、それを説明したところは記憶がありません。探してみなければ。
池田さんの今後のエネルギーの開発に対する意見では、風力は日本には不向き・太陽光発電は補助金なしでは成り立たない不完全技術で、可能性があるのは地熱発電・藻類のバイオエネルギー・メタンハイドレートと言うことです。
おいおいちょっと待てよというところで、メタンハイドレートはエネルギー源とは言えないような与太話ですし、藻類も研究者の大風呂敷の話にごまかされている人が多いようです。
してみるとほとんど可能性があるエネルギー源は無いということでしょう。
というわけで、あまり「復興」と言う点には力が入っていない本になってしまいました。