爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「生き残る判断・生き残れない行動 大災害・テロの生存者たちの証言で判明」アマンダ・リブリー著

タイム誌のシニアライターというリプリーさんが、主にアメリカの災害やテロでの人々の行動などを生存者の聞き取りを元に書いています。あちこちに著述が跳びますのでやや分かりにくい感じですが、アメリカ人にとってはそれぞれかなり印象的な事件だったと思いますので、さほどは気にならないのでしょう。

災害やテロに遭遇した人々はパニックに陥り人を押しのけて出口に殺到したり争ったりというイメージが強いということですが、どうやらそれはごく一部だけに見られるようで、ほとんどの場面ではかえって麻痺したように動かなくなる人の方が多いようです。
911の時のツインタワーの中でも、速やかに避難することができた人がいる一方で動こうともせずにそのまま留まってしまった人たちも多かったそうです。
どうやら、広く動物の中にもなにか大きな脅威にさらされると麻痺したようになってしまうという行動があるようです。これで助かる場合もあり、ヴァージニア工科大学で最悪の銃乱射事件に遭遇した青年はまったく動けなくなってその場に死んだように倒れたおかげで犯人の注意を引くことがなくその教室でただ一人無傷で生き残ったのですが、このような事態はほとんどの場合で逆に働きます。船や飛行機、火災などの場合には動けなくなった人はそのまま犠牲になることが多いようです。

911や数多くの事故などから生還した人たちはそのような状況になっても平常の判断力を失うことなく適切な行動をとっています。これらの人にはやはり軍事訓練を受けた人が多く、そこでの訓練が役に立ったという面もあるようです。
それはないとしても、やはり災害を想定した避難訓練というものをやっているとまったく違うということで、911でも警備主任として雇っていた人がそれまでに全社員に無理やり避難訓練を数多く課していたおかげで大部分の社員が生き残ったという会社もあったそうです。

災害大国の日本ではよりきめ細かい訓練が必要なんでしょうが、あまりやっていないようです。