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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「エネルギー依存文明の終焉と現代資本主義の暴走」

これまでも現代の文明がエネルギーに過度に依存しており、エネルギー供給の不安により極めて不安定になり文明の破綻も有得るという話は何度もしてきたかと思います。
日本におけるバブル破綻のあともアメリカのサブプライムローン破綻、リーマンショックなどの金融不安が続発していますが、いまだに金融資本主義の暴走は止まることがないようです。最近でもそれに頼った「景気回復策」としてのさらなる金融緩和という禁じ手を使った円安誘導が行われたばかりです。これはいわゆる「景気回復」などにはつながらないのは明らかです。

このように暴走を始めた資本主義というものは、実体経済と密接に結びついていたかつての資本主義とは似て似つかぬものかもしれません。かつての資本主義が良かったかどうかは一概には言えないでしょうが、今の金融資本主義が何も生み出さないのは明らかです。

現代文明が「エネルギー依存」であることは自明であると思いますが、その認識は誰にも共有されているとは言えないでしょう。今生きている人間は皆生まれながらに安価なエネルギーに満ちていた世界に育っており、それを不思議とも、幸運とも、あるいは不運とも思わずに生きてきています。しかし、その実態を見れば産業革命以前の人類文明とはまったく異なる性格を持った文明となってしまったということが見えてきます。

それ自体は責められることではありませんが、問題はそれを支えてきた化石燃料、特に石油の供給に翳りが見えてきたことにあります。このままの形での文明の継続というものが危うくなってきたにも関わらず、石油に代わるエネルギー源が必ずあるかのように信じているのが大部分の人間です。

さて、もう一つの人類の危機は現在の行き着くところまで行ったかのような、金融資本主義が暴走を始めていることです。物品の製造と流通販売を実体経済と言うならば、その規模をはるかに超える金額が連日取引されています。それにより、実体経済も揺さぶられ続け、存続の危機にもさらされているようです。

このような金融の暴走も実はエネルギー依存文明と無関係ではないようです。
いくつかの分析にも明らかなように、このような金融の効率化は情報処理技術の進化により生まれてきたと言えます。つまり、IT技術の発展がなければここまで効率的な金融技術も進化しなかったといえます。
IT技術もエネルギー依存文明により生まれてきたものの一つと言えます。物理学や数学はエネルギーとは無関係に生まれてきたものですが、その発展にはエネルギーが必須でした。半導体ひとつを取ってみてもエネルギーを使用した装置がなければ生まれてこなかったでしょうし、ここまで大量生産もできなかったでしょう。

エネルギー依存文明の将来については、それが色々な方面で問題を起こして自壊するという可能性もありますが、それ以上に根本的な問題として「エネルギー供給の減衰」ということがあります。化石燃料はその存在量自体が決まっており、それ以上には使うことはできません。原子力は可能性としては大きいのですが人間の技術というのはそれを安全に使いこなすだけのレベルには決して到達できないようです。いわゆる「再生可能エネルギー」というものも、エネルギー自体は太陽から降り注いできますがそれを捕らえる装置の製造には多大なエネルギーを必要とするという大きな欠点がありとても巨大なエネルギー需要を満たすことはできないと考えられます。

いずれは、現代のエネルギー依存文明はかなり縮小した形態で再生するしかないでしょう。そこでは、現代のような金融資本主義は生き残ることができません。なぜなら、そこに行くまでの「縮小した形態」というものとこの「資本主義」というものは共存することができないからです。
今でも各国政府がどこでも変わらずに唱えているように「経済成長」が資本主義の存続には不可欠であるからです。本当の意味で「永遠に続く社会」というものは有得ませんが、人類の種としての寿命から見て「永遠と言える社会」程度であれば作り出すことはできないことはないでしょうが、その「永遠に続くと言える社会」は成長も衰退もしてはいけない社会です。一年前とまったく同じことをする社会でなければ永遠に続くことはできません。
経済成長をしない社会では、そこからの収益を期待する資本主義というものは存立できません。経済成長をする資本主義社会はかならず崩壊をする運命にあります。
それが50年とか100年先だとしたら、自分には関係ないと言うかのような人間に政治を任せているのが現代社会です。

ここしばらくは、石油も残っていますし石炭はかなり大量に残存しています。すぐに太陽エネルギーだけで収支を均衡させる社会に移らなければならないとは言えませんが、その方向で準備をしないと世界的な破綻に向かうことでしょう。準備には長い時間がかかります。できるだけ早くその準備に入る必要があります。

このテーマについてはまだ考えのまとまっていない部分も多いので少しずつ続けていくつもりです。
エネルギー依存文明の危うさについてはある程度確信があるのですが、それと資本主義との関係というところは不完全です。共産主義独裁国家でもエネルギーには依存しており、その文明が作られてきました。それでも共産主義が敗北したのはやはり資本主義とエネルギーとの相性が抜群なのかもしれません。
また、情報通信技術と資本主義の暴走ということも密接に関連しているとは思いますが、もしもコンピュータのここまでの進歩が無かったらどうだったかということは想像を重ねる価値はありそうです。