爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「誰のための”教育再生”か」藤田英典編

2007年に小泉内閣に引き続いて問題のある教育改革を進めていた安倍内閣がつぶれ、そこで一安心してその教育改革の問題点をまとめて編者の藤田さんや他にも尾木直樹さんなどの教育評論家、教育学者、弁護士などの人が執筆した当時の「教育再生」政策の批判をしたものです。

まさか、その安倍がまた首相として返り咲くとは著者の人達も思わなかったでしょう。

当時、推進されていた政策のうち問題があるものとして本書で中止すべきと指摘されているものは次の通りです。
全国一斉学力テスト、教員免許更新制、教師の階層化、寛容なき厳罰主義(ゼロトレランス)、国家の教育統制の強化、改悪教育基本法、教育の市場化、学校選択制

これらが現在どのようになっているのか、正確には分かりませんがより進んでいるんでしょう。学力テストは実施されているようですし、その結果も公表するとかいったニュースが流れていたようです。
学力テストの結果公表はそのあとに論じられている学校選択制とも密接に関わってきます。公立の小中学校でも自由に学校を選べるとなると学力テストの結果の良かった学校に入学希望者が増えることになります。
それに対して、学校側の過剰な対策が出てくるのは当然で、テストの練習とか、低得点の生徒の糾弾とか、問題流出などの不祥事もおきやすいことになるようです。

そのような問題の多い改革をなぜやりたがるのか。本書はそこまでは分析していませんが、一連の政権の動きを見ているとなにか一つにつながっていそうです。