爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻細胞生物学」D・サダヴァ他著

アメリカの大学の教養課程の生物学教科書としてもっとも人気の高い「LIFE」という本を翻訳したものですが、全57章の中から17章までを3巻に分けて講談社ブルーバックスとして出版しています。
これは第1巻の細胞生物学で、第2巻分子遺伝学、第3巻分子生物学と続きます。

普通は図書館で借りた本だけを読んでいるのですが、たまたま近所の中古本専門店ブッ○○フにいった所この本がありあまりのきれいな図版に魅せられて買ってきました。とはいえ、定価が税別1300円のところ例の税込210円ですが。
そんなわけで、第1巻は読破しましたが第2巻以降が都合よく中古で出るという可能性は薄く、もちろん新刊で買うには高すぎます。

それはさておき、理科系科目の中でも生物は特に近年大きく進化しているのではないでしょうか。遺伝子の研究には大きな力が入れられており、また成果も大変なものがあります。数学や物理はそれほど変化もないのではないかと(専門の方の意見は違うでしょうが)思いますが、生物ではその変化が誰にでもわかるようです。
今から40年ほど前に大学の理系学部で生物等を習った折の教科書などというものはまったく古ぼけたものでした。その内容が今となっては高校の教科書程度というのはともかくとして、図版の精密さ、色とりどりのきれいさというものの詰まったようなこの本を見ると、今のアメリカの学生がうらやましいばかりです。

本当に面白いのは第3巻の分子生物あたりかもしれませんが、上記の理由ですぐに手に取るわけにも行かず当面はあきらめるとして、この第1巻では特に目を引かれたのは細胞膜の構造と働きのところです。
知識としては細胞膜構造というものも知ってはいましたが、その流動的な動きというものがもちろん本書でも動画であるわけではないのですが、あたかも動いているかのようなイメージを受ける図版は見事としかいえません。
リン脂質二重層というものが細胞膜を形作り、その中にところどころにたんぱく質などが埋め込まれているというのがどういうことか、百聞は一見にしかずというのが正にこれだと感じました。
やっぱり次の巻も見たいかも。