爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ヘイトスピーチとたたかう!」有田芳生著

ジャーナリストから参院議員になった有田さんが特に在日韓国・朝鮮人の人々を対象として行われているヘイトスピーチについて批判をしています。

ヘイトスピーチというものがあるということは分かりますが、なかなか報道も少ないために分かりにくいものになっています。その辺の事情についても触れています。
右翼かとも思いがちですが、既成の右翼勢力の人からは迷惑に感じられており、怒りを表す人もいるそうです。
実態は聞きしに勝るというもので、報道もそれをそのまま流すことには躊躇してしまうというのがニュースになりにくい一因かも知れません。

なお、これもほとんど聞いたことがなかったのですが、「カウンター勢力」というヘイトスピーチに反対する人々の活動も行われており、一定の成果もあるようです。ただし、たびたび衝突という事態にも至るようですが、その場合はヘイトスピーチ側とカウンター側がなぜか同数検挙されるという取り締まり体制になっているということです。

ヘイトスピーチというものはヨーロッパ諸国などでは法律で禁じられている国も多いようですが、日本ではその法整備を行っていないためにどんなに汚い言葉で罵ってもそれでは逮捕もできないようです。実は日本も「人種差別撤廃条約」に加盟しているために本来は適切な法整備をしなければならないのですが、政府は言を左右にし実施を怠っています。1995年に加盟したものの、その後何回も国連から法整備の勧告を受けながらも動こうとしません。

法学者にもヘイトスピーチの取り締まりと言論の自由とが両立するかどうかについて議論もあるようですが、アメリカでは言論の自由を極端に優遇する国情から法律では規制していないものの、ヨーロッパでは人種差別自体を絶対悪として規制するという立場が大勢のようです。
なお、アメリカでも「スピーチ」はともかく、実際に人種差別に起因する犯罪の「ヘイトクライム」は厳しく規制する法律が存在するようです。

それらがなにも無いという日本はそのような事態にも目をつぶり、考えないようにしておくという無関心層が多いようで、それは国会議員の中にも多数を占めているようです。これは自民党だけでなく野党議員でも同様のようです。

このような事態というのはインターネットの普及と切っても切れない関係があるようです。実際にヘイトスピーチを行っている側がそれを誇示するようにネットに動画を載せるということをしているために、海外にもそのまま流れてしまっています。逆にカウンター勢力の人々もネットで連絡を取り合い出動するという活動が行われているようです。

ネットと自民党それも安倍政権というのがこの問題のキーワードかもしれません。