爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「図解 世界資源マップ」資源問題研究会著

資源問題に関心を持つジャーナリストや専門家が集まって調査や啓蒙を行っているという資源問題研究会というグループが著者です。
公式に出ている数値をまとめたという意味では見ておく価値はあるのかも知れません。

最初の各国現状ですが、日本には資源と呼ばれるものはほとんどなく、すべて輸入に頼っているというのは間違いのないところです。
ただし、「都市鉱山」とも呼ばれる産業廃棄物の中の希少資源はかなりの量に上っており、これをきちんと把握してリサイクルする体制にするというのは緊急の課題かもしれません。

品目別では、石油の項で以前から言われていた「石油はあと30年で枯渇する」というのがどんどん延びてきている理由が簡潔に示されています。つまり、これまではコストの面で埋蔵量にカウントされていなかった分が原油価格の上昇で埋蔵量として認められるようになったということです。これは、増えたからといって安くなるということはあり得ず、さらに原油価格を上昇させるということを示しています。

食料に関する章の前には「水」という項目が設けられているのも適切でしょう。農業用水としての意味が大きいのですが、それが多くの地域で使えなくなってきています。これは温暖化などの影響ではありません。農業増産のせいでしょう。アメリカの危険性については触れられていないのがちょっと問題です。

鉱物資源では、意外なものまで「枯渇がせまる」ということになっているのは驚きです。鉛やスズ、亜鉛など身近な金属でも供給が厳しいものが多いようです。どうなるのか不安が大きいのですが。

やはり環境問題よりも資源供給問題というのが身近な危機のように見えます。