爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「なぜ日本人は学ばなくなったのか」斎藤孝著

明治大学教授の教育学者の斎藤さんの本は以前にも一度読んだことがあります。現在50台半ばの方ですが、やや古風な教育観を持っておられるようです。

本書の最初は教養に対する”リスペクト”というものを失った現代日本の特に若者に対する強烈な批判から始まります。
教養を持たないだけでなく、教養を持った人をも否定してしまうという方向に入っています。これはそのような日本の文化だけでなく、ヨーロッパの教養文化をも否定してしまったアメリカ文化を無批判に受け入れてしまったためだそうです。

日本でも旧制高校があったころには哲学書や文学書を読まなければ話にも加われないといった教養主義がありましたが、そういった頃の若者が日本の近代を作ってきたという文化観です。

確かに間違いのない点もあるのですが、だからどうしようといっても不毛なことになるような気もします。現状は問題ですが、哲学書を読めば治るようなものでもないと思いますが。