爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「世界の歴史5 中世ヨーロッパ」堀越孝一、三浦一郎著

社会思想社の現代教養文庫のなかの、世界の歴史と題されたシリーズ12巻の中の1冊です。
これは1974年に初版発行されていますが、社会思想社は2002年に倒産してしまいました。
世界の歴史シリーズはこの巻の著者の一人の三浦氏のほかに、山口修、山上正太郎という当時のおそらく大先生が若手の歴史学者と組んでそれぞれの得意な時代を書いたもののようです。
第1巻は読んではいませんが、当時上智大学教授の現役バリバリの江上波夫氏が著者の一人になっています。

本巻は中世ヨーロッパということで、古代ヨーロッパを形作っていたローマ帝国ゲルマン民族との抗争の結果、なんとかバランスを保っていたところに、民族の異なるフン族が進出してきてゲルマン民族の間に大きな動揺を引き起こし、それがローマ帝国の根幹も揺るがすわけですが、そのフン族をフランスにあったといわれるカタラヌムというところの闘いでなんとか破りそれ以上の進出を留めたところから始まります。
フランク王国などのゲルマン勢の固定化と、ローマの争いが続くなかで、さらにイスラム教が生まれてその勢力の拡大も影響を持つようになります。

フランク王国は兄弟の争いで3分割されて今日のフランス、ドイツ、イタリアの分化の元になったということですが、それぞれの性格の大きな差と言うものを考えると不思議な思いもします。

自分たち自身が蛮族と呼ばれるものであったにも関わらず、その後北欧からバイキングとしてノルマン人が来襲すると圧倒されるわけですが、その強い影響のもとにイギリスなどの社会は生まれてくるわけです。

学校の歴史で教えられていたとしたらとても覚え切れるものではないように思いますが、実際にヨーロッパ各国の人と交わることを想定すると最低限このような知識は身に付けていなければ会話もできないかも知れません。

そういった点はアジアやアフリカでも同様でしょう。歴史を学ぶ価値もそこにもあります。

中世ヨーロッパを見ているとキリスト教の大きな支配力と言うものを感じますが、その最中に起こったのがペスト渦であり、そしてそれは急激な寒冷化のためということも他書からの知識で仕入れました。社会の激変もそこから起こってくるわけで、中世に終止符をうったのもそこにあるわけです。
本書はジャンヌダルクの描写をもって終了しています。