爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ほんとうの環境問題」池田清彦、養老孟司著

生物学者の池田さんですが、温暖化問題について積極的に発言しているために相当批判も受けているようです。しかし、素人から見るとどうも池田さんが言うことの方が納得できることが多いように感じられます。
その池田さんが養老さんとともに著した本です。

池田さんの言うとおり、かつては環境問題といえば公害とゴミ問題でした。それが最近になって大規模なものに拡大されてきました。しかし、どうも的外れな議論が先行し、しかも大規模なためにその対策というのも途方も無いものになり、方向性を誤ると大変なことになりそうです。

私自身も以前から考えていましたが、池田さんの指摘どおり、石炭の使用に始まるエネルギー革命が現在の人口爆発につながってきたのは間違いないところでしょう。しかもそのエネルギー供給も無限に続くわけは無い。太陽すら無限ではなく寿命があることですが、それ以上に地球上に現在あるエネルギーの総量は限られています。本書にあるように、「おじいちゃんとお父さんが長年にわたって一所懸命に蓄えた金を息子がドンちゃん騒ぎをして一晩でなくす」ようなことをしているのが現代文明です。

これも私の考えと一緒ですが、100年先の二酸化炭素濃度を言う前に石油が実際にあと何年持つのかを考えろと言う主張は当然です。石油枯渇まで40年と言うのなら100年後の温度など考えてもしょうがないわけです。それよりも石油枯渇と言うことの意味を考えるべきだと言う著者の意見には大賛成です。

二酸化炭素温暖化などに議論を重ね、しかも大変な無駄金を使うようなことはすぐにやめるべきという著者の主張は当然であり、温暖化が正しいかどうかという問題以前に解決すべき問題であると思います。