爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ピーター・フォーク自伝」ピーター・フォーク著

刑事コロンボの主演として有名なピーター・フォークの自伝です。2010年の出版ですがその頃にはピーターはすでに認知症だったようで、その翌年には亡くなりました。
文章はユーモアが溢れるように感じられるもので、コロンボの口調がそのまま感じられます。翻訳者(田中雅子さん)の力量も相当なものと見えます。

ピーター・フォークは若い頃から演劇の経験はあったものの、大学を出てから一時は政府の役人として勤務をしていたそうです。その後やはり役者の道を選び、職を投げ打ってニューヨークに出ました。
最初は役も付かなかったようですが、徐々に端役から付きだしてきたそうです。しかし、体型と顔付き、そして右目が義眼であることなどから二枚目役というのはなく、ギャングの子分といった役どころだったようです。

しかし、その演技力は周囲からもすぐに認められ、本書中にも付き合いのあった製作者、監督、共演者などとのエピソードがいろいろと書いてありますが、演技を見て出演依頼ということがよくあったようで、さらに脚本が気に入らないと言うピーターの要望も最大限受け入れると言う様子が見えます。

刑事コロンボの最初の役作りというのも本人の発案が相当入れられたようで、例のコートやプジョーのポンコツというのも自ら選んできたようです。

この放送は当時の東側諸国、ソ連ブルガリアなどでも大人気だったようです。ブルガリアを訪問した際、政府からの要請で「刑事コロンボは本当に年8本しか作成されていない」ということをテレビで放映したそうです。政府の統制が強い国柄で、本当はもっとたくさんの刑事コロンボの話があるのにわざと放送していないと国民が疑っていたのを晴らすためだったとか。

しかし、本当に幸せな役者人生だったということが端々に感じられるような本でした。