爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「代替医療」蒲原聖可著

代替医療というと、サプリメントや整体治療などや、鍼灸、漢方なども含むと言う知識はあり、玉石混交だなというイメージでしたが、アメリカ・ヨーロッパなど国によってもかなりの違いがあるようで、また中国、アジアアフリカなどでは代替医療に分類されるような伝統医療が正当医療の地位を占めているところもかなり存在するようです。
そのような代替医療について、東京医大病院医師の蒲原(かもはら)さんはアメリカの代替医療についての知識もあるとか、また日本の現状についても解説を加えています。

代替医療というもののイメージと言うのはおおむね最初のようなものと言えますが、定義としては「現代西洋医学以外のものすべて」ということだそうで、これは日米欧それぞれで少しずつ違いがあります。
日本では漢方も通常医療の範囲として考えられ、また鍼灸も中間域のものと捉えられています。アメリカではオステオパシー(整骨医学)も通常医療として捉えられていて、またカイロプラクティック鍼灸も中間域と考えられているのに対し、ヨーロッパではホメオパシー、ハーブ療法が通常医療の域内と考えられているそうです。

近代西洋医学が発達してきたにも関わらず、代替医療が勢力が強いのは、西洋医学というものが疾病を治療すると言う方向性が強く、予防ということが不得手だからという点もありそうです。また、慢性病や生活習慣病に対してはまだあまり効果的な治療法ができていないため、それらに陥ることの多い現代ではなんらかの解決策を必要としており、それらを対象とする代替医療の浸透する余地が多いからだとか。

しかし、代替医療には科学的な研究がほとんどなされていないものも多く、単なるプラセーボ効果だけのものも見られ、さらにそれを高価格で提供すると言う業者も多く、それも大問題のようです。

代替医療を試してみると言うのは誰にでも機会があることのようですが、著者は必ずかかりつけの医師に相談するように提言しています。しかし、実際は代替医療を施していてもそのことについて病院で医師に申告しないという人が大部分のようで、毒にも薬にもならないと言うようなものなら害は小さいのですが中には医療に影響を及ぼすようなこともあるようです。
また、もっとひどいものではガンなど通常医療で十分に治療を尽くすべきなのにそれをせずに代替医療だけで治療しようとして手遅れになる例も多いようです。とにかくかかりつけ医師を持ちその医師にすべて相談するようにと言うことを著者は薦めています。

現代医療もあまりにも医療費がかさみ財政にまで重い影響を及ぼすまでになっており、その面でも予防的に使える代替医療の意味が大きくなっているようです。意味のある研究に力を入れ使えるものは使っていくという方向が必要になりそうです。