爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「機長の700万マイル」田口美喜夫著

ながらくパイロットを勤められ、その後エッセイも多く発表された田口さんですが、もう亡くなられているようです。

そのような国際線機長の体験をあれこれと書かれているものですが、私自身も飛行機に乗るのは好きでもありまた操縦にも興味があり、搭乗するたびに窓からの風景をずっと見ている方ですので、興味深く読ませていただきました。

コンピューターのフライトゲームも好きでいろいろやっているのですが、そこでは着陸がかなり難しくそれに比べて離陸は容易というイメージでしたが、本書を見ると実際は離陸の方が微妙な出力調整が必要であったり角度を狂わせないように気を使ったりということがあり、より難しいそうです。
また、旅客の荷物もすべて重量を測り飛行機全体の重量を計算しておくことや、座席の配置も重量バランスに関わる重大問題であるということなど、少しは聞いたこともありましたが再認識です。

また、冬場など吹雪で飛行機の機体に雪が付着して落とすのに長時間かかるという話もよく聞きますが、ついつい何十トンもある機体でそんなに関係あるのかと思ってしまいますがやはり相当効いてくるようです。冬場のロシアや北ヨーロッパでは滑走路も凍結することが多く危険だったようです。

著者の経験でも沖縄の那覇空港で2回着陸を試みて2回ともまったく滑走路が見えずあきらめたというのは1度だけだったようです。燃料もぎりぎりだったのでなんとか嘉手納基地にたどり着いて着陸できたのですが、基地で客を降ろすわけにはいかないようで、燃料を補給して視界が回復してから再度那覇に向かったとか。そんな目にあったことはありませんが、乗客も大変だったでしょう。

全然知らなかったことですが、乗員の乗務前のミーティングでは自己紹介の際に非常時の脱出ルートも述べるそうです。機長は常に機体最後部の非常口から脱出することに決まっているとか。最後に機内を全部確認してから出ることになっているからだそうです。当然といえば当然なんですが。