爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「日本人はなぜシュートを打たないのか?」湯浅健二著

大学卒業後ドイツに渡ってサッカーコーチの資格を取得し、帰国後読売サッカークラブのコーチも勤めたと言う湯浅さんがサッカーコーチの心理的な側面を主に解説しています。

ドイツでの修行時代は最初は下位リーグでプレーもしたようですが、とにかくフリースペースを作るために無駄でも良いから走ると言うのが大切だということが叩き込まれたようです。
サッカーと言うのは足で蹴るという、手を使うスポーツと比べると非常に不確実性の強い状況でプレーをするので、どうしても計算外のことが頻発するそうです。
そのために、足元から足元へのパスだけでは攻めることはできず、またディフェンスも最良の対応をしようとしてくるので「クリエイティブなムダ走り」というのが不可欠なんだそうです。

どこの国でもどのチームでも必ず「スタープレイヤー」というのが居ますが、それがボール捌きのテクニックだけに頼るようなタイプであればそれがかえって邪魔になりチームの戦略にマイナスになるということは良くあるそうで、それを越えられたのはマラドーナだけだっというのが著者の意見です。
日本の代表チームでもトルシエオシムの時代にはそういったチームプレー主体の指導である程度実力が上がってきたものの、ジーコは日本選手の実力を見誤り自由にやらせすぎたとか。

サッカーチームの監督というのはグラウンドの横から大声でどなっているだけのようですが、結構心理作戦をしているということで、特にハーフタイムの指導ではまったく違うチームにしてしまうこともできるとか。そういった意味での面白さはあるようです。
まあこれから少しサッカー試合の見方が変わるかも。