アメリカの大学の哲学科教授のクリースさんが主に物理の実験の歴史の中から芸術的とも言えるものを選んだものです。
科学実験の中にも「美しい」と言えるものがあるというのは、理系でない人には想像しにくいことかもしれませんが、数学にも「美しい」解法があるように、物理は特に「美しい」実験がありそうです。
取り上げられているのはエラトステネスの地球の大きさを測定した実験、ガリレオの斜面を用いた加速度測定、ニュートンのプリズムを用いた太陽光の分解、キャヴェンディッシュの地球の密度を測った実験などですが、それぞれが大きな科学上の変革を成し遂げた実験と思います。
その当時の状況も細かく記述されており、反対論を繰り広げたライバルと言うのも必ず存在していたようですが、実験が明快であればあるほど反論は一気に消滅すると言うこともあったようです。
まあ、実験も美しいに越したことはないのでしょうが、そればかりでも行かないのが実際のところで「泥臭い」実験というのも多いように思います。